"身体にいい外食"が
時代にマッチ
京都・イタリアン『ルーデンス』
の薬膳スープ

"身体にいい外食"が時代にマッチ京都・イタリアン『ルーデンス』の薬膳スープ

京都・丸太町。一軒家リストランテの店主・田淵章仁さんは、"健康オタク"である。その土地で季節にとれたものを食す「身土不二(ルビ/しんどふじ)」の考えを礎に、大原の野菜や地元・滋賀の生産者が育む食材を愛用。「美味しさ、楽しさはもちろん、身体にいい料理を創出したい」と、以前から"イタリア料理と薬膳の融合"を提唱し続けてきた。


田淵シェフはインテリアデザイナーから料理の世界へ。イタリア・フランス・ドイツ料理店で修業し2009年に独立。17年9月、京都・丸太町に移転オープン。

薬膳スープで身体を"整える"

18年4月に、国際薬膳食育師(現・和漢薬膳師)の資格を取得。「トスカーナで食べた、ミネストローネ。あの滋味深い味わいが忘れられず。店の看板になるようなスープを作れないか?」と、同5月に誕生したメニューが「LUDENS 薬膳スープ」だ。地鶏のブイヨンと昆布だしをベースに、朝鮮人参、大棗(ナツメ)などの薬膳食材、無農薬の香味野菜などを加え、8時間かけて仕上げる。「朝鮮人参は、血流改善や滋養強壮に良いとされ、さらにはビタミンCの爆弾と称されるローズヒップも加えています」とシェフ。イタリアの発酵調味料・コラトゥーラ(魚醤)や、乾燥ポルチーニの芳しさにより、着地点はしっかりイタリアン。「夏場は冷たいものが食べたくなるけれど、暑い時こそ温かいスープを摂った方がいいんです。胃腸の消化機能が元気になるので」と田淵シェフ。昼・夜のコースに必ず組み込み、今や店のスペシャリテに。


写真はテイクアウト用「LIDENS薬膳スープ 牛頬肉煮込み付き(大)」1600円。奈良「榛原牛」ホホ肉が入りボリュームしっかり。長芋、トマト、ズッキーニなどの夏野菜、ショウガやニンニク、鷹の爪など、陰陽の食材をバランスよく配合する。

薬膳スープをフックに働きかけたコト。

コロナの影響がレストラン予約に出始めた3月末、田淵シェフは薬膳スープのテイクアウトを始めた。「お客様には、食べることで日々の体調を整えてもらいたい」との思いから。ステイホーム期間中、常連客からの注文は毎日10組前後。家族の健康に気を使う、幅広い層の女性客に支持を得たという。リピート客も多いため、現在でも前日までに予約をすれば、購入可能だ。

テイクアウトだけに止まらないのが、創造力豊かな田淵シェフらしい。先が見えない状況が続いた4月〜5月末にかけ、クラウドファンディングを実施。「身体を温め、消化に良く、栄養価の高い、うちのスープを皆様に届けたい!」と、薬膳スープ(2人前3200円)をリターンの柱に。シェフの熱量と、免疫力を高める必然性があるコロナ禍というタイミングが合致したのだろう。支援者数177人、支援総額は目標の30万円を大きく上回り、190万円近くに達した。


クラウドファンディング「CAMPFIRE」でプロジェクトを開始。「料理の動画や画像は、僕がスマホで撮影しました」とシェフは笑うが、クオリティはなかなかのもの。

「実は、クラウドファンディングは2度目の挑戦でした。1年前に、"薬膳イタリアンのコース(昼5000円、夜1万円)"を掲げ実施しましたが、支援者は60人、支援総額は90万円弱...」。こと、薬膳スープに関しては、「以前からお客様に"疲れが出る週末や、食欲がない時にあのスープを飲みたい"との声を多数頂いていたので、実施に踏み切ったのです」。

プロジェクトを応援してくれそうな支援者(お客様)をイメージし、まさに今のニーズに合ったリターンを提供する事で、クラウドファンディング成功の可能性はぐっと広がったのだろう。集まった資金は、真空調理器や薬膳スープのパッケージなどに使用。並行して、「そうざい製造業」の免許を取得、7月にはBASEを開設し、オンラインショップをスタートさせた。残りの資金は、との問いに「昔、実家で使っていたおくどさんを厨房に入れるなど、日本ならではの食文化を僕なりに継承できれば。資金は、その設備投資に使用させていただき、お客様には、ここでしか味わえない体験を楽しんでいただけたら」と意気込む。

ロスになりそうな旬食材を、楽しく発信。

シェフの眼差しは、生産者にも注がれている。「トマト収穫時期の7〜8月。畑では、商品にならない割れトマトも大量に出るって聞いて」。近江八幡のトマト農家『青友農産』と、京都で人気のバナナジュース専門店『サンキューバナナ』、そして田淵シェフがトリオを組み、シェフのレシピでトマトのスムージー「サンキュートマト」を開発。材料はトマトと、自家製トマト塩・オリーブオイルのみ。トマトは免疫力アップに効果ありとされるリコピンをたっぷり含み、今まさに注目のヘルシーフード。爽やかな甘みと素朴な香りが広がり、さっぱりとした飲み心地が魅力だ。店頭での販売は8月15日まで。

健やかでいることの大切さを、誰もが噛みしめている今。身体を労わる食に着目し、食べ手の健康を気遣い、生産者をも応援する。そんな"外食の提案"は、ますますニーズを高めていくに違いない。(写真・文/船井香緒里)


「サンキュートマト」のトマトジュース390円。『ルーデンス』の店先で購入できる。1日限定30杯。営業時間11:30〜15:00

店舗情報

【住所】京都市中京区間之町通二条上ル夷町560-8
【電話番号】075-231-5606
https://www.ludens-kyoto.jp/

"身体にいい外食"が
時代にマッチ
京都・イタリアン『ルーデンス』
の薬膳スープ

この記事をSNSでシェアする

"身体にいい外食"が時代にマッチ京都・イタリアン『ルーデンス』の薬膳スープ

あわせて読みたい