京菓子司『亀屋良長』の
"そんなバナナ、"なユニーク羊羹
2000本を超える好調な売り上げ

京菓子司『亀屋良長』の"そんなバナナ、"なユニーク羊羹2000本を超える好調な売り上げ

バナナ味の黄色の羊羹と、カカオ味の漆黒の羊羹を重ねた2層仕立て。表面を飾るのは、粗く砕いたマカダミアナッツやクルミ、カカオニブ。素材もビジュアルも個性的な羊羹、その名も「そんなバナナ、」はコロナ禍が生んだ快作だ。

「突然訪れた予想だにしない苦境に、誰もが落ち込み、流れるニュースは暗いものばかり。だからこそ、思わず笑顔になる楽しくて美味しいお菓子を作らなければと思ったんです」。そう語るのは、8代目主人の吉村良和さんと奥様の由依子さん。
1803年創業の歴史ある菓子司ながら、2010年に元パティシエールの職人を起用して洋風和菓子を主軸にした新ブランドを新設。2016年には健康志向に着目した低GI値の菓子ブランドを作るなど、先進的な取り組みを続ける二人。ゆえに、その決意から販売に至るまでのスピードは驚くほど速かった。
「思い付いた1週間後、4月10日過ぎにはもう売り始めていましたよ」と由依子さん。

「バナナは免疫力アップにつながる食材といわれているので」と、ベースにしたのは4年前に申年限定で作ったバナナ羊羹。心躍るバナナ菓子といえば、祭りの屋台菓子の定番チョコバナナでしょ?と思い付き、近年親交が深いショコラトリー『ダンデライオン』のカカオを合わせることに。積み重ねた経験やアイデアがスムーズに繋がって、レシピは数日で完成した。


バナナ羊羹は約4割がバナナペースト。口にするとねっとり濃厚で自然なバナナの風味も感じる。チョコバナナのビジュアルに寄せるために、チョコレートはわざと垂れるように仕上げている。

「実は商品名は最初、『バナナ羊羹』だったんですよ。パッケージも商品撮影も終わったのに、ふと社員の誰かがつぶやいた"そんなバナナ"という言葉に、あれ?そっちの方がいいんじゃない?って(笑)」と由依子さん。
翌朝社員に多数決を取ったところ、「そんなバナナ」が圧勝。そんな馬鹿な...という今の苦境を笑い飛ばすに相応しいユニークなネーミングに決まったという。最後に「、」を加えたのは、「そんなバナナで終わらない。幸せな続きがあるイメージにしたかったんです」と由依子さん。
「バナナ羊羹のままだったら注目度も変わるし、もしかしてここまで売れなかったかもしれませんね」と良和さんも振り返る。
当初は数カ月の期間限定販売のつもりが、予想以上に売り上げは好調。8月には累計2000本を超えた。継続を希望する声が絶えないので、しばらく販売を続ける予定だ。

そしてもう一つ、予想外に売れた商品がある。4年前から販売する手作りあんこセットだ。小豆、てんさい糖、最中、道明寺粉、きな粉を1箱にまとめたもので、計量せずに最中やおはぎを作れるというもの。ただ、「なんとなく売れればいいな...ぐらいの軽い気持ちでしか販売していなかったんです」と由依子さん。それまでは、ごくたまに売れる地味な商品だった。

しかし、家庭で過ごす時間が増えたことでお菓子作りが大流行。「今なら和菓子作りにも興味を持ってもらいやすいかも」とピンときて、商品内容はそのままに同梱するレシピを大幅に改善することを思い付く。全工程に自分たちで撮影した写真を付け、見やすく作りたくなる"実用性の高い"レシピに変更した。


手作りこあんこセット大1850円。最中、白玉ぜんざい、おはぎを作ることができる内容。小1150円もある。


左が現在のレシピ。右がリニューアル前のレシピ。文字だけの簡素な内容だった。写真だけでなく調理上の細かいポイントを書き添えたり、余った粒あんの活用法も掲載している。

これが、大成功。需要がより高まるだろうGW直前にリニューアル販売したところ、「GW期間中だけで200箱売れたんです」と驚く結果に。ほんの少しの工夫とタイミングの大切さを改めて実感したと話す。

今後も、「今だから求められるものを意識して、色々な商品作りに挑戦したい」と意気込む吉村夫妻。既に頭の中で渦巻いている構想はいくつかあるとか。
さて、次回はどんなアイデアが飛び出してくるのか。(撮影・文/川島美保)

店舗情報

【住所】京都市下京区四条通油小路西入ル柏屋町17-19
【電話番号】075-221-2005
https://kameya-yoshinaga.com/

京菓子司『亀屋良長』の
"そんなバナナ、"なユニーク羊羹
2000本を超える好調な売り上げ

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京菓子司『亀屋良長』の"そんなバナナ、"なユニーク羊羹2000本を超える好調な売り上げ

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