【連載】フロントランナーの視点
『FUJIMARU』藤丸智史さん Vol.3

【連載】フロントランナーの視点『FUJIMARU』藤丸智史さん Vol.3

冷凍食品工場を立ち上げ、巣篭もり消費へ対応

ワインを軸にあらゆる事業を展開する『FUJIMARU』。代表・藤丸智史さんは、ウイズコロナの未来を予測しながら、「今できること」をフルスピードで展開してきた。最終回は、「次の大きな波が来た時に対応できるように」と推し進めた新プロジェクトについて。藤丸さんに話を聞いた。


「コロナ禍で、自分自身に課したことは、絶対に"思考を止めないこと"でした」。オンラインソムリエや、Zoom料理部、小規模生産者を応援するテイクアウトやオンラインショップ...と、新たなサービスを最速のスピードで実行に移した藤丸さん。6月に立ち上げた「冷凍食品工場」も、そのうちの一つ。
ワインショップとダイナー、植物工場を有する東心斎橋店。3階には、試飲会などの団体向け個室があった。しかし「今後、売り上げが見込めないスペース」と、約2週間かけてフロアを改装。「コロナが終わるとは限らない。次の波を見据え...」6月に完成したのが、冷凍食品工場『フジマル工房』だ。


食品の調理室、凍結室、冷凍保管室に分けた3階フロア。設備投資と内装費に約700万円をかけたそうだが「"冷凍食品工場"以外の新たなサービスについては、それほど大きな投資はしていません」と藤丸さん。

急速冷凍機「ブラストチラー&ショックフリーザー」を導入するなど、厨房機器にはしっかり費用をかけた。かくして、国の衛生基準をクリアできる12坪の小さな冷凍工房が完成。5月には『食品の冷凍又は冷蔵業』の免許を取得し、試作の日々が始まる。完成した商品は「日本食品分析センター」での分析試験を経て6月、オンラインショップでの販売をスタート。この冷凍品に関しても、店舗で提供するメニュー同様、小規模生産者の食材が主役だ。例えば、大阪・松田牧場「なにわ黒牛」の粗ミンチ肉をたっぷり用いた「ラザニヤ」や、大阪産の玉ネギや大阪産ワインで味を調えた「なにわ黒牛の大阪カレー」など。さらに。宮崎「都萬牛」の牛骨からだしを取り、10種以上の野菜と白インゲン豆などを煮込んだ滋味深いスープ「ガルビュール」、フジマル特製の「濃厚トマトソース」や自家菜園のバジルをふんだんに使った「ジェノベーゼソース」など、ラインナップは10種類以上。実際に冷凍で届く「なにわ黒牛のボロネーゼ」なら流水解凍の後、フライパンでゆっくり温める。そこに茹で上がったリガトーニを投入。パルミジャーノ・レッジャーノをかけて味わえば、粗ミンチ肉の旨みがグッと押し寄せ、丁寧に甘さを引き出した香味野菜とともに和音を奏でる。どの品にも、いい素材を吟味し、丁寧に作り上げた味わい深さがあるのだ。



真空冷凍で届く、白いんげん豆とたっぷり野菜のガルビュール756円(写真上)。200gとボリュームもしっかり。流水解凍後、器に移しラップをしてレンジ500W・約3分で、レストランの味を食卓へ。
ジェノヴェーゼソース648円(写真下)。リングイネやショートパスタに絡ませ味わうもよし。茹でたジャガイモや、ソテーした白味魚とも好相性。共に税込。「フジマル工房の冷凍食品」はオンラインショップにて。税込。
https://www.wineshopfujimaru.com/SHOP/1124781/list.html

「試作と試食を繰り返し、ひたすらカロリーを取り続けた甲斐あって、かなり安定してきました」と微笑む藤丸さん。「冷凍食品というと何だかイメージが良くない方も多いかもしれません。ただ、私たちの商品は、可能な限りご自宅でもレストランに近い味わいを再現できるよう、メニューや食材の選定、そして何より最小ロットでのこまめな生産をしています」という。
そんな一歩先を見据えた取り組みは、新たなマッチングも生み出した。今年8月、堺市の大蓮公園に誕生したキャンプ場のフード部門は、「ワインに合うキャンプご飯」がコンセプト。実は系列店『フジマル醸造所』が、そのフードとワインをプロデュース。ここでも、『フジマル工房』で生み出した冷凍食品が活躍している。
「美味しさありき」の冷凍食品の存在そのものが「次の波」が来たときの巣篭り消費のツールに。さらには、他の災害といった、将来に起こるかもしれない危機的状況に対応する力になるはずだ。
(撮影・文/船井香緒里)

会社情報

株式会社パピーユ
https://www.papilles.net/

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