大阪『パンデュース』。
冷凍パン×EC販売で
食品ロス削減へ。

大阪『パンデュース』。 冷凍パン×EC販売で食品ロス削減へ。

大阪・本町に本店を構える『パンデュース』。農家直送の野菜などを使ったパンは素材感漲る味わいで、今や大阪市内に5店舗を構えるまでに。統括シェフの米山雅彦さんが、食品ロス削減の一環として、特殊な急速冷凍をかけたパンの通販を考え始めたのは、2019年夏。その半年後、新型コロナウイルスの影響が街に暗い闇を落とすことになる。コロナ禍の中でも「パンの新たな世界を見いだすことができました」。そう言って米山シェフは微笑む。


「街のパン屋さんでは毎日、需要予測より少し多めに、"見込み"でパンを焼いています」と、米山さんは話を始めた。しかし、来店する顧客数は天候などにより左右されるし、閉店まで売れなければ廃棄されることも。「実際『パンデュース』では売上げに対して平均3%前後のパンは残ります。その中から、ラスクなど商品に再生できるものもあるのですが、やはり食品ロスが発生することもあり、悶々としていました」。そんな折、千葉・松戸市『パン焼き小屋 ツオップ』の事例を参考にしようと考えた。『ツオップさんでは、閉店後にパンを急速冷凍し、EC販売されていたのです。これしかない」と米山シェフはアクションを起こした。

キーワードは「冷凍パン×EC販売」

「フードロスをなくしたい。そんな考えから、閉店後にパンを急速冷凍。僕たちの思いに共感していただけるお客様に冷凍発送しよう」。そうして「もったいないおまかせパンセット」という名で販売を始めようと考えたのが2019年夏。「19年末から本格始動をと考えていたのですが、諸事情あり、年明けにスタートを」と考えていた矢先、コロナの影響が売り上げに響き始めることに。「駅ナカや百貨店の売り場に至っては、1月末には売り上げが"右肩下がり"状態に...」。結局、「もったいないおまかせパンセット」の販売は2020年3月末に開始。Facebookなどで告知したところ、常連客や知り合いからの注文が相次いだという。その後すぐにBASEを活用したオンラインショップを強化。「それまで自社通販は、シュトレーンや、ガレット・デ・ロワくらいでしたが、冷凍パンの商品枠を増やしました」。そうして4月初旬、冷凍パンのEC販売を本格始動したのだ。


もったいないおまかせパンセット3500円(送料別)。急速冷結させた、総額5000円以上のパン約20個前後を入れる。このセットは、あらかじめ趣旨にご理解いただいたお客様限定の予約注文にしている。約2週間待ちの状態が今なお続く。
http://www.painduce.com/new/news/news2020.html

『パンデュース』のキッチンには、冷凍機器「プロトン凍結機」がある。ちなみに、家庭などにある通常の冷凍庫は、温度の低下だけで凍らせる。対して、プロトン凍結は「磁石の力」「電磁波」そして「冷風」の3つの力で急速冷結。冷凍時に起こる食品の細胞破壊を防ぎ、本来のパンの美味しさを逃すことなく冷凍することができるという。

「今までの用途は、発酵を終えた生地を冷凍させること。冷凍生地を支店へ運び、各店舗で仕上げていました」。プロトン冷結機の技術をベースに研究を重ね、焼成後のパンを冷凍させてみると...。「冷凍する前と、美味しさがほとんど変わらないのです。これには驚きで」。例えば野菜をふんだんに盛ったパンなら、「素材からドリップが全く出ない」。また、ベシャメルソースを塗ったクロックムッシュの場合、自然解凍させて少し温めると、冷凍前の味がまんまとよみがえった。そうして、バゲットから惣菜パン、菓子パン、ヴィエノワズリー...と、あらゆる種類のパンを詰め込んだ「もったいないおまかせパンセット」が誕生したのだ。 
「自粛期間中は、来店も憚られた時期があったので」、EC販売の需要が徐々に伸びていく。並行してシェフは様々な冷凍パンを商品化。「家で好きなタイミングで、焼き立てのバゲットが食べられたら嬉しいなと思い」開発したのが、「家で焼き上げるドゥミバゲット(6本入り)」960円。完全に焼成しない状態で釜から出し、プロトン凍結。自宅で、好きなタイミングでリベイクすると、パン釜から出したかのような香ばしさや、生地のしっとり感が際立つ画期的な商品に。さらに。「その時の気分で、食べる食パンをおうちでも選べたら楽しいかと思い」誕生したのが、「パンデュースの食パン食べ比べセット」2140円。国産小麦「ゆめちから」「はるきらり」「春よ恋」「きたほなみ」をブレンドした山食パンほか6種の食パン詰合せは、1日に5軒ほどの注文がコンスタントに入るように。


パンデュースの食パン食べ比べセット(6種)2140円。山食1斤、角食1斤、上等山食1斤、コンプレ食パン1/2本、ミルクの食パン1台、オーガニックレーズン食パン1/2本。全て4枚切りで届く。

いずれの商品も冷凍で届く。すぐに冷凍庫へ入れ、好きなタイミングでリベイク。その手軽さが受け、徐々にではあるがリピート客も増えてきた。
「優れた凍結機と出合えた結果、フードロスを抑え、かつ"パンデュースのパンらしさ"を損なわない冷凍パンを提供できることに」。その根底に変わらずあるのは、「無添加で身体にいい美味しいパンを届けたい」という米山シェフの思い。冷凍配送の結果、家庭でのフードロス削減にも繋がるだろう。
コロナ禍の対応のみならず、環境にも配慮して。冷凍パンのオンラインショップは今後も継続していく予定だ。
(撮影・文/船井香緒里)

「パンデュース」http://painduce.com/
通販サイト https://painduce.official.ec/

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