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【レシピ付き】ナス料理 Vol.1 京都『丹 tan』

とろりとした口あたりの翡翠色のピューレに映える、鮮やかな緋色(ひいろ)の一文字。時に端正に、時に遊び心を交えてと、硬軟自在に素材の持ち味を生かす料理で評判の京都『丹 tan』店長・山手陽介さんが考案するナス料理は、猛暑に涼を届ける冷製すり流しです。
名脇役を果たすは、“赤ナス”。ナスの皮もヘタも使うサステナブルな一品は、アレンジ次第で先付にもメインにも。高い汎用性まで考慮された、注目の簡単レシピです。

文:川島美保 / 撮影:竹中稔彦

京都・東山三条『丹 tan』山手陽介さん作 
緑茄子と赤茄子の冷たいすり流し

白川のほとりに建つカジュアルな和食店は、創業150周年を超える『和久傳』が、そのルーツである京丹後で育まれた山海の美味を伝えるべく始めた一軒。素材感をダイレクトに伝えやすいことから、春は新玉ネギ、夏は冬瓜など、コース料理の椀物替わりに季節のすり流しを供することが多いそうだ。

「ですから、ナスを課題にいただいた際に真っ先に思い浮かんだのがすり流し。アレンジしやすいよう、あえて極シンプルな仕立てにしました」と、二代目店長の山手さんが話す。

緑ナスの色と香りを“丸ごと”生かす

山手さんが主素材に選んだのは、緑ナス。青ナスや翡翠ナスとも呼ばれる品種で、その名の通り果皮の美しい翡翠色が特徴だ。加えて「夏に相応しい爽やかな香りと濃厚な味わい。水分が多い実は加熱することでとろける食感になり、グッと旨みも増す。夏のすり流しにピッタリなんです」。

さらに今回は、「皮も硬いヘタも、すべて使います。ある意味定番の料理だけれど、一物全体を使うことで色味も風味も濃厚に。さりげなくフードロスも考慮した当店らしい時代に合った料理にしています」。
米油で素揚げしてアク抜きするのは、水に浸してのアク抜きの際に風味が抜けるのを防ぐため。加えて、適度にコクを添え、炊くだけでは口に障(さわ)る硬いヘタや皮を食べやすくする狙いもある。

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