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【レシピ付き】6月の酢の物 Vol.2 大阪『弧柳 継心』

80種近い料理名が連なる品書きの中に、「酢肴」の文字。大阪・北新地『弧柳 継心(こりゅう けいしん)』では、モズク酢など定番から創意あるものまで常時約6種を用意します。今回、料理長の岩下寛季さんが考案したのは、旬を迎えるマコガレイを酢〆して、鳴門巻きにした一品。脇を固める添えものやタレにも酢を使い、見事な“酸味のグラデーション”を描いています。

文:船井香緒里 / 撮影:東谷幸一

大阪『弧柳 継心』岩下寛季さん作
真子鰈の鳴門巻き 梅肉酢味噌かけ

「蒸し暑くなるこの時季。常時6種ほど揃える『酢肴』の一品一品に工夫を凝らしてます」。そう話す岩下さんが主役に据えたのがマコガレイ。「造りに勝るもんはない、と仰るお客さんもいらっしゃるかと思いますが、新しいことに挑戦したいんです」と目を輝かせる。ちなみに単品メニューに『酢肴』を据えるのは「単なる酢の物ではない、粋な提案を」との想いから。

今回は「巻き寿司からヒントを得て」、割り酢に浸けて水気を切った新ショウガとマコガレイを海苔で巻いた鳴門巻き。夏野菜の甘酢漬け、梅肉酢味噌と異なる酸味を重ねるが、見事に調和させる素材の組合せと酢加減がポイントだ。

マコガレイは「千鳥酢」の丸い酸味で浅く〆る

マコガレイを〆る割り酢のベースは、米と熟成した酒粕で仕込む「千鳥酢」(京都『村山造酢』製)。「まろやかな酸味、深みのある味わいが、素材の持ち味を生かします。修業時代から、酢はこれ一本です」。

マコガレイは500g前後の程よい厚みのものを使う。「振り塩は控えめに、〆加減も浅く。酸味を重ねるので、味が喧嘩しないように気を付けます。魚の身が薄い場合は、浸ける時間を短くするなどして調整します」。

鳴戸巻きにした後、冷蔵庫で少し置くのは、割り酢を纏(まと)ったマコガレイと新ショウガを馴染ませると同時に、程よく締まり、食感が良くなるからだという。

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