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【レシピ付き】空豆料理 Vol.1 福井『日本料理 崇』空豆饅頭 若狭わかめ餡仕立て

福井県の南西部・名田庄(なたしょう)にある『日本料理 崇(すう)』は、敷地内に畑を有し、野菜やハーブなどを栽培しています。空豆も露路栽培ですが、収穫はもう少し先とのことで今回は福井県産を使用。「空豆をたっぷり使って饅頭に仕立て、春ならではの香りを閉じ込めます」。地元をこよなく愛する田中さんらしい、若狭(わかさ)地方の山海の幸とのハーモニーが印象的な一皿です。

文:船井香緒里 / 撮影:高見尊裕

目次


福井『日本料理 崇』田中俊祐さん作
空豆饅頭 若狭わかめ餡仕立て

「空豆独特の香りと、ほんのりとした甘さをダイレクトに感じていただきたいと考え、たどり着いたのは“饅頭”でした」。

空豆生地の中には鹿肉の山椒煮や毛ガニを仕込んで上品なコクをプラス。ワカメ餡と取合せ、海と山の素材らしさを大切に、重たさを感じさせない椀物に仕立てる。

空豆生地は軽やかさを追求

「発想の源は『菊乃井』で学んだ、百合根(ゆりね)饅頭です。“もっちり”ではなく、なめらかでいてサクッと歯切れが良い。軽やかな食感を目指しました」。

舌触りをなめらかにするポイントは、空豆生地に加えた餅粉。「入れすぎるともっちり感が出てしまうので、分量は控えめに」。さらに豆乳を加えることで、コクを持たせた。

中に仕込む鹿と毛ガニは、手のひらで丸めた後に冷凍。「揚げる時の破裂を防ぐことができます」と田中さん。

揚げて“蒸す”ことで空豆の香りを際立たせる

空豆饅頭は、たっぷりの餅粉をまぶして低温の揚げ油にそっと潜らせる。「空豆の色を生かしたいから、色が付かないように転がしながら揚げます」。

その後、“蒸し”の工程を挟むのが重要だという。曰く「揚げることで香ばしさと食べ応えを。蒸すことで饅頭の芯までしっかりと熱を入れ、同時に余計な油を落とし、空豆独特の香りを際立たせたいんです」。

若狭小浜の山海の幸を組み合わせて

「名田庄は山間の村ですが、若狭湾はすぐそこ。だから地元の海の幸を取り合わせようと考えました」。そこで餡には小浜漁港で揚がる旬のワカメをたっぷりと使用。フードプロセッサーで攪拌し、カツオ昆布だしと合わせてとろみをつけることでワカメの風味を存分に感じさせる。

空豆饅頭 若狭わかめ餡仕立てのレシピ

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【材料(10人分)】

●空豆饅頭
|空豆(蒸して裏漉ししたもの)……300g
|山芋……100g
|卵白……1個分
|豆乳……50㎖
|煮切り酒……37.5㎖
|餅粉……37.5g
|塩水(塩分濃度3%)……7.5㎖
|薄口醤油……2.5㎖

●鹿の山椒煮と毛蟹のあん
|鹿肉(肉の端切れなどを利用)……150g
|山椒の実(アク抜きしたもの)……15g
|薄口醤油・酒・みりん……各適量
|毛蟹(塩茹で)の身…55g
|毛蟹(塩茹で)のミソ…20g

●ワカメ餡(2人分)
|カツオ昆布だし……150㎖
|生ワカメ……100g
|薄口醤油・みりん……各数滴
|水溶き葛粉……適量

餅粉・菜種油……各適量
塩漬けワラビ・木ノ芽の佃煮…各適量

【作り方】

<空豆饅頭を仕込む>

空豆は薄皮を剥き、中火の蒸し器で約3〜5分蒸す。蒸し上がったらうちわであおいで粗熱をとり、裏漉しする。
山芋は皮を剥き、すりおろす。
①・②、すべての材料をフードプロセッサーに入れ、撹拌する。

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<鹿の山椒煮と毛蟹のあんを仕込む>

鹿肉は庖丁で刻む。山椒の実と共に鍋に入れ、ひたひたの酒と薄口醤油・みりんを加えて味がなじむまで弱火で炊く。粗熱をとり、フードプロセッサーで撹拌する。10gずつに分けて丸めておく。
毛蟹の身とミソを合わせておく。
④を手のひらの上に広げ、⑤5gを入れて包み、丸める。冷凍庫で凍らせる。

<空豆饅頭を仕上げる>

クッキングシートの上に餅粉を適量のせ、楕円に広げる。
⑦の上に③40gをのせ、餅粉に合わせて楕円に広げる。折り重ねるようにして⑥を包む。

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菜種油を150℃に熱し、⑧を揚げる。

fea8903e饅頭の生地はとても柔らかいので、ヘラなどを使い、油の中にそっと入れる。色が付かないよう、全体を転がしながら揚げる。

⑨を器に入れ、十分に蒸気の上がっている蒸し器の中に入れ、約10分蒸す。

<ワカメ餡を仕込む>

ワカメは茎を取り除き、適当な大きさに切る。熱湯に潜らせて塩気を抜き、冷水に落として水気を切り、フードプロセッサーで撹拌する。
鍋にカツオ昆布だしと⑪を加え、薄口醤油・みりんで味を調える。軽く煮立っている状態で、かき混ぜながら水溶き葛粉を加える。

<仕上げ>

器に⑩を入れ、⑫のワカメ餡をはる。塩漬けワラビ(塩抜きし、カツオ昆布だし・みりん・薄口醤油を合わせた地に漬けたもの)と、木ノ芽の佃煮をあしらう。

fea2780f田中俊祐さんは1992年福井県生まれ。高校卒業後、京都『菊乃井 本店』に入社し、村田吉弘氏に師事。29歳で地元・名田庄に戻り、魚卸業・仕出し・小売を営む実家の『カネイチ商店』に2年間勤務。その間、仕出しや出張料理をしながら開業準備を進め、2023年6月、築100年以上の祖母の家を改装し『日本料理 崇』を開く。店は山々に囲まれ、若狭湾まで車で15分の立地。若狭地方の山、里、海の食材を用いた懐石料理では、食材と素直に向き合う田中さんらしさが滲み出た、衒(てら)いのない料理を堪能できる。


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