『神楽坂 石かわ』×現代作家

×小山厚子vol.1  備前ならではの土味と、備前を超える大胆かつ繊細な造形

岡山の備前焼の里・伊部(いんべ)で、父・末廣さんと共に作陶を続ける人気の女性陶芸家・小山厚子さんと、『神楽坂 石かわ』の石川秀樹さんの出会いは10年ほど前。いかにも備前という土味の作品に加え、カラフルで楽しい作品も多々。今回は、石川さんが長年愛用するうつわに加え、工房を訪ねて入手した新作にも料理を盛っていただきました。石川さんが選ぶうつわには、どこか共通点があるようで…。シンプルの極みのような盛付けが、小山さんの唯一無二の個性を際立たせています。

文:渡辺紀子 / 撮影:綿貫淳弥 / 編集:伊東由美子

フォルムや肌合いだけでなく、裏の景色も美しい

そもそも、備前の肌合いが好きなんです、素朴な土感がいいですよね。
10年くらい前、『銀座 黒田陶苑』から届いた小山厚子さんの個展の案内を見て、素敵な備前だと思って見に行ったのが始まりです。当時、彼女、30代前半だったのかなぁ。でも、堂々たる備前の土味があって魅せられました。

今回、初めて工房を訪ねたのですが、ひとりの作家とは思えないほどバラエティに富んだ作品群を見せてもらって、小山さんは「備前を超えているな」と思いました。『銀座 黒田陶苑』での個展は2005年以来、毎年連続で、今回で19回目になるとか。これから、どんな凄い作家になっていくんだろうか、と見守っている方も多いと思います。

ish0005-1a石川さんが味わい深いと愛してやまない、土味が美しいうつわたち。右下は4月の訪問時に購入したばかりの作品。釉薬をかけていない焼き締めは、水で濡らすとさらに豊かな表情に。

真ん中の筋の入った半扇形の皿なんて、北大路魯山人の作品のようでしょう。うまいなぁと思います。手のひらサイズくらいの小さなうつわで、ちょっと珍味を盛ったりするといいんです。奥の角皿もいい味。控えめな緋(ひ)だすき(※)が印象的です。

左の上下2点も以前から所有している小山さんの作品なのですが、土味や佇まいが気に入っています。右下のうつわはいちばん最近のもので、遺跡から掘り出したような姿にしびれました。黒く窯変していて味わい深い。フォルムも美しい。焼き締めのうつわって裏の景色もいいんですよね。

※緋だすき:備前焼の特色の一つ。焼成の際、藁(わら)を巻いて作品が触れ合うのを防いだことにより、器肌に焼き付いて表れる茜色の模様。

この記事は会員限定記事です。

月額990円(税込)で限定記事が読み放題。
今なら初回30日間無料。

残り:1764文字/全文:2705文字
会員登録して全文を読む ログインして全文を読む

フォローして最新情報をチェック!

Instagram Twitter Facebook YouTube

この連載の他の記事『神楽坂 石かわ』×現代作家

無料記事

Free Article

おすすめテーマ

PrevNext

#人気のタグ

Page Top
会員限定記事が読み放題!

月額990円(税込)初回30日間無料。
※決済情報のご登録が必要です