『神楽坂 石かわ』×現代作家

×谷口 嘉vol.1 心が静かに整うような、型吹きガラスの“揺らぎ”と温かみ

金彩を施した薄造りのガラスのうつわには、格別の上質感が漂います。型吹きという技法で作った谷口 嘉(よしみ)さんの作品は、つるつるのテクスチャーではなく、表面に微妙な“揺らぎ”があります。『神楽坂 石かわ』の石川秀樹さんは、その繊細な表情が谷口さんの持ち味と言います。「ガラスは冷たい印象になりがちですが、独特の温かみがあるので、温かい料理も受け止めてくれます」。石川さんが谷口さんのうつわに、新たな魅力を吹き込みます。

文:渡辺紀子 / 撮影:綿貫淳弥 / 編集:伊東由美子

目次


華奢で繊細ゆえ、ここぞという時に使いたくなる

谷口さんのうつわとの出合いは6、7年前でしょうか。それまで、ガラスのうつわといえば切子やバカラを使っていたのですが、明らかに違うニュアンスを感じて惹きつけられました。

初めて買ったのは、深さのある楕円のうつわ。フォルムがカッコいいだけでなく、ガラスの表面に独特の揺らぎがあって、見ているだけで心が静かに整うような印象を受けました。

今回は撮影用に、6月に『銀座 日々』で開かれる個展に出品予定の作品から選ばせてもらったのですが、新作も出合った当初の空気感とまったく変わらないですね。フォルムも素敵で、なんとも言えない味があります。触れるのをはばかられるほど華奢で繊細なので、僕もスタッフもいつも緊張しながら扱っています。

ish0006-1a今回の個展でも登場する金縁長方鉢。サイズは2種類ある。凜としたフォルムが清々しい。

金彩を施した縁も手仕事ならではの揺らぎがあって、まるでアンティークのような、クラシカルな感じがいいですよね。扱う時は緊張感を伴いますが、それを凌駕する品があって、ここぞという時に使いたくなる。これからの時季、涼しさを運んでくれると思います。

谷口さんのガラスは、ほのぼのとした温かみもあるので、夏だけでなく、1年を通じて活躍してくれる強みがあります。僕は、あえて温かいものを盛りたくなるんですよ。見た目とのギャップに驚かれるでしょうが、それもまた楽しいかなと思います。

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