【レシピ付き】一寸豆の新緑豆腐——『味彩旬香 菜ばな』前田武徳さん作
実家が豆腐料理店を営むことから、様々な季節の豆腐づくりに定評のある東大阪の『味彩旬香(あじさいしゅんか) 菜ばな』の前田武徳さん。今回は皐月(さつき)の頃にふさわしく、一寸(いっすん)豆を使った新緑豆腐を披露しました。一口大の3カンそれぞれに、一寸豆の翡翠煮、タイラギの昆布〆、セミドライトマトをのせて彩り豊かに。「白和えのように口の中でとろける食感に」という前田さんの提案に、多くの会員が関心を寄せていました。
※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/
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前田武徳さん(東大阪・小阪|『味彩旬香 菜ばな』店主)
1973年、東大阪市生まれ。高校卒業後、梅田の飲食店などを経て、『旬菜 山崎』で腕を磨く。父が営む豆腐料理店『龍鳳洞 石切(りゅうほうどう いしきり)』を手伝い、2011年に独立。穏やかなお人柄ながら勉強熱心で、大阪料理会ではベテラン会員に古い仕事などを積極的に習い、自身の料理に反映している。
白和えのような食感を狙って、一寸豆と木綿豆腐をゼラチンで寄せました
5月になると、大阪の伝統野菜「河内一寸そら豆」が出てくるので、これを使って緑色の豆腐を作ってみようと思いました。今回の発表は4月末だったので間に合わず、九州産を使っていますが、青々とした豆の香りと甘みを生かすため、豆腐には極力味を付けずに仕上げています。
この季節、一寸豆の白和えをよくお出しするので、そこからの発想で、白和えっぽい豆腐が作れたら面白いなと思って。豆乳ではなく、木綿豆腐を使って、ゼラチンで冷やし固めています。胡麻豆腐とも玉子豆腐とも違う、口の中でとろけるような、なめからな歯触りを目指しました。
木綿豆腐を水切りし、塩茹でした一寸豆を合わせて、少しコクを出したかったので卵の素(卵黄とサラダ油を合わせたもの)を加えてフードプロセッサーにかけています。これを湯煎にかけて温め、ゼラチンを溶かし入れて冷やし固めました。
トッピングの一寸豆の翡翠煮は、砂糖水を使った蜜煮です。一寸豆の白和えには貝類がよく合うので、1カンはタイラギの昆布〆をのせています。最後の1カンには、彩りを添えたかったのでセミドライトマトを。プチトマトを半分に切ってオーブンで乾燥させ、かなりレアに仕上げています。
八方地に酢を加え、ゼラチンで冷やし固めた「出汁ゼリー」をザルで漉し、一皿のまとめ役に。見た目にも清涼感が出せたかな?と思います。
まさに白和えを思わせる口溶けのいい新緑豆腐が大好評。「卵の素を使うことで乳化によるなめらかさが出ている」と畑 耕一郎会長が分析した。「白和えに近づけるため白味噌を使っても良かったのでは?」「出汁ゼリーをトマトウォーターで作っても美味しそう」とベテラン会員がアドバイス。事務局の笹井良隆さんが、一寸豆のプチ講座も行った(右)。「河内一寸は、その名の通り、1粒が3.3㎝以上ある大粒。大阪から全国に広がった」などと解説し、会員は熱心に聞き入っていた。
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