日本料理のことば

おせち【御節】のレシピVol.2 黒豆蜜煮

「辻󠄀調理師専門学校」の岡本健二先生に教わるおせちのレシピ第二弾。「まめに暮らせるように」、つまり、丈夫で健康に1年を過ごせるようにと願いを込めた黒豆の蜜煮をご紹介します。豆を茹で、蜜煮にするまで火を入れ続ける方法もありますが、今回教えていただいたのは火を入れては冷ますという失敗が少ない方法。おせちにはもちろん、八寸の飾りやデザートに添えても良い、上品な味わいの一品です。

聞き書き:阪口 香 / 料理制作:「辻󠄀調理師専門学校」岡本健二
撮影:東谷幸一 / 協力:辻󠄀調理師専門学校

目次


還元鉄を加えて茹で、黒々と仕上げる

黒豆蜜煮は、邪気を払うような黒色、皺(しわ)が寄っていない皮、ふっくら柔らかい食感がポイントです。

「辻󠄀調理師専門学校」では、黒大豆は京丹波産の新物を使います。粒が大きく揃っていて、色がキレイで皮に皺(しわ)がなく、ツヤのあるものが良いですね。

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この豆をより黒く仕上げるために必要なのが、還元鉄です。還元鉄とは、鉄の酸化物の還元によって得られる微細な粉末状の金属鉄のこと。鍋に豆・水と共に入れて1日浸け、そのまま茹でます。還元鉄の代わりに錆びた鉄釘(クギ)を入れてもいいのですが、なかなか都合良く手元にありませんし(笑)、還元鉄を使う方がキレイな黒色に発色すると思います。インターネットから購入できますので、試してみてください。

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作業中は、豆を動かさない

豆を指で軽く押さえて潰せるくらいに柔らかくなったら火からおろして冷まします。茹でて冷ます、という作業は2回繰り返しますが、1回目が色を安定させるため、2回目は還元鉄の鉄臭さを取るためです。
冷やす時は、急冷によって豆の皮に皺が寄るのを防ぐため、落とし蓋の上から糸を引くように少しずつ水を流し入れます。

その後、シロップに豆を浸けて味を含めるのですが、一気に甘くすると豆が硬くなったり、皺が寄ったりする可能性があるので砂糖は3回に分けて。徐々に甘さを足していきます。

この茹でる、水にさらす、シロップに浸けるという工程で気を付けていただきたいのが、とにかく豆を動かさないこと。豆同士がすれたり、衝撃を与えたりすると皮の破れの原因になります。

このまま瓶に詰めて真空したら、1年でも2年でも保存がききます。醤油で味付けする場合は、シロップごと鍋に入れ、90~95℃くらいまで再加熱して味を含めるといいでしょう。

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