【レシピ付き】豆料理vol.2 大阪・蒲生『御料理 松むら』松村知典さん作 「うすい豆の真丈椀」
大阪・蒲生『御料理 松むら』の松村知典さんは、フランス料理の現場で培った技法を和食にしなやかに織り込む料理人です。季節の野菜を主役にした真丈椀を得意とする松村さんが、この季節に選んだのは、春を告げる「うすい豆(ウスイエンドウ)」。豆の香りと甘みをなめらかな真丈に閉じ込め、旬の余韻を一椀に映しました。
大阪『御料理 松むら』松村知典さん作
うすい豆の真丈椀
松村さんの味づくりには、一貫した考えがある。
それは「素材よりも、素材らしく」。
若い頃にフランスで現地の食文化に触れた経験が、その礎になっている。当時交流のあったパティシエは、『イデミ スギノ(閉店)』でスーシェフを務めた。異なるジャンルの料理人たちと感性を交わした日々が、松村さんの料理観にも大きな影響を与えたという。
春の豆といえばさまざまあるが、この時季ならではの香りとやわらかな甘みを湛えるのが、うすい豆だ。「粒のまま味わうのも、もちろんおいしい。でも今回は、薄皮のわずかな食感すら前に出さず、豆そのものの香りと甘みが真っ先に広がる仕立てにしたかったんです」。
そうして選ばれたのが、真丈椀というかたち。
ふんわりとした口あたりの中に、豆の春らしい存在感を凝縮させていく。
シノワで漉す感覚で、なめらかに

下処理を施したうすい豆は、まず昆布だしでやさしく火を入れる。「指でつぶれる手前で引き上げます」。火を通しすぎれば、鮮やかな緑は失われ、香りも鈍くなる。その見極めが、この一椀の生命線だ。
炊いた昆布だしを合わせてハンドブレンダーでしっかりと撹拌し、さらに目の細かいザルで丁寧に裏漉しする。このひと手間が、舌の上でほどけるようななめらかさを生む。「シノワで漉すような感覚ですね」。
その質感は、まるでフランス料理のピュレのよう。若き日にフランスの厨房で技を磨いた、松村さんならではの感覚が息づく。
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