鮎の人気レシピ
鮎と言えば塩焼きが王道ですが、「WA・TO・BI」ではこれまで、塩焼きに一工夫したものや、創意ある鮎料理も紹介してきました。今回は、中でも人気を集めた5つをご紹介。プロならではの発想が光ります。
稚鮎素麺——東京『銀座 小十』
撮影/大山裕平
稚鮎は“活け”を揚げるのが一番おいしいという持論から、氷水に浸けて大人しくなったところで唐揚げに。鮎魚醤で旨みとコクを足した麺つゆを合わせ、贅沢で上品な素麺の主役にする。ポイントは、おろし胡瓜、木の芽、蓼(タデ)で作る、酸っぱくて苦い緑酢。球状に丸めて中央におくことでビジュアルを引き締めると同時に、食べる直前に箸でくずして味と香りを開く粋な演出も兼ねている。
緑酢の球は素麺と合わせず、唐揚げにした稚鮎の頭にのせるだけでも充分。もう一尾に大根と梅と蓼で作った特製大根おろしをのせ、2尾並べて供するのもユニークだ。
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鮎寿司——京都『ユキフラン佐藤』
撮影/高見尊裕
40g前後の鮎を、塩焼きしてから姿寿司に仕立てるという独創的なレシピ。青柚子の皮はあえて厚めにそぎ切りし、ワタの苦みを酢飯に混ぜ込み、炭火で焼いた鮎の腹に詰める。鮎の香りと呼応する青柚子の爽快な香りが、実に夏らしい一品。
取り除いた鮎の内臓は、塩揉みした青瓜、梅肉と重ね合わせるように盛り付けて付け合わせに。青瓜の青い香味や梅肉の酸味が鮎の内臓の苦みと呼応して、鮎寿司の口直しとしても、酒肴としても使える。
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鮎ぞうすい——東京『たでの葉』
撮影/海老原俊之
天然鮎を主役にしたコース料理で、締めの食事の定番にしているという鮎ぞうすい。熊本・川辺川(かわべがわ)で獲れた体長15㎝ほどの鮎を、一人前あたり1尾使って仕立てる。鮎は内臓を取り出してから強火で皮目をパリッと焼き、頭、尾、中骨でだしを取る。残る身は大きめに刻みおいて、雑炊に加えるのは火を止める直前。ふっくらとした身の食感を保ちつつ、鮎独特の香りを最大限に生かす。
内臓はうるか(鮎の塩辛)に仕立てて、ぞうすいの薬味に。あるいは酒肴として別の一品にするも自由だ。
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鮎で和えた水茄子とキュウリ——大阪『和食とお酒 蒼』
撮影/竹中稔彦
焼き鮎のほぐし身と鮎魚醤を合わせたペーストを使った、鮎の和え物。鮎は表面に太白ゴマ油を塗り、サラマンダーの弱火でじっくり水分を飛ばすように30分かけて焼いてから、中骨だけを取り除いてフードプロセッサーに。味付けは大分・日田(ひた)市の老舗醤油屋『まるはら』製の鮎魚醤と塩。日持ちを考慮して太白ゴマ油でのばし、濃厚なペーストに仕上げる。
和える野菜は、瑞々しいキュウリと水ナス。キュウリには扇風機の風を半日当てて余分な水分を飛ばすひと手間を施すことで、ペーストの味がぼやけず、パリポリッと楽しい食感が生まれる。
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鮎素麺 胡瓜すり流し——大阪『幽玄』
撮影/東谷幸一
大阪を拠点に活躍するフランス料理店『リュミエール』の唐渡 泰シェフから学んだ「野菜の乳化ソース」を生かした、すり流し仕立ての鮎素麺。すり流しのベースにするのは、鮎の瓜らしい香りと相性抜群のキュウリ。そこに大葉やショウガ、乾燥させた鮎の骨からとっただし、トマトだしを固めたトマトゼリーなどを合わせ、太白ゴマ油で乳化させて濃度を付け、魚醤で味を調えた。
鮎はシンプルに塩焼きして素麺のトッピングに。ネギの替わりに薄紫色のシブレットの花を飾るのが洒落ている。
乳化を確実に成功させるためには、油分(太白ゴマ油)を最後に加えることが大切。また、ゼラチンでトマトゼリーを作るのではなく、海藻と植物由来の増粘剤製剤「ジェルエスペッサ」を使うと調理の手間がグッと省けることも合わせて紹介している。
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