料理のうつわ十問十答

永楽の多様性

2022.05.30
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連載:料理のうつわ十問十答

骨董を主に、料理のうつわの基本のキを学ぶ本連載。前回に引き続き、京都の料理屋では必ずと言っていいほど見かける永楽がテーマです。代表格の交趾(こうち)に加え、祥瑞(しょんずい)、仁清(にんせい)、金襴手(きんらんで)…と多彩な写しを手掛けてきた背景にあるものは? 『菊乃井』の村田知晴さんの素朴な質問に、『梶 古美術』の梶 高明さんが、永楽家の年表を記したホワイトボードを使って解説。十代・了全、十一代・保全の時代に迫ります。

文:梶 高明 / 撮影:竹中稔彦
答える人:梶 高明さん

『梶 古美術』七代目当主。その見識と目利きを頼りに、京都をはじめ全国の料理人が訪ねてくるという。朝日カルチャーセンターでは骨董講座の講師も担当。現在、「社団法人茶道裏千家淡交会」講師、「NPO法人 日本料理アカデミー」正会員、「京都料理芽生会」賛助会員。
梶 古美術●京都市東山区新門前通東大路通西入ル梅本町260 
https://kajiantiques.com/

質問する人:村田知晴さん

1981年、群馬県生まれ。『株式会社 菊の井』専務取締役を務めながら、京都の名料亭『菊乃井』四代目として料理修業中。35歳で厨房に入り、現在5年目。「京都料理芽生会」「NPO法人 日本料理アカデミー」所属。龍谷大学大学院農学研究科博士後期課程に在籍し、食農科学を専攻している。

共に学ぶ人:梶 燦太さん

1993年、梶さんの次男として京都に生まれる。立命館アジア太平洋大学国際経営学部を卒業後、『梶 古美術』に入り、現在2年目。八代目となるべく勉強中。

(第6問)

河濱支流(かひんしりゅう)の印の意味とは?

村田知晴(以下:村田)
前回の「永楽の成り立ち」で、永楽の印は徳川治寶(はるとみ)候から賜ったと伺って思い出したのですが、永楽にはここぞという時に使う印がありましたよね?
梶 燦太(以下:燦太)
河濱支流ですね。永楽の陶印と共に治寶候から頂いたようです。この諌鼓鶏(かんこどり)のうつわの裏にも押してありますよ。

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永楽十二代・和全造 呉州(ごす)赤絵 諌鼓鶏鉢。
高台の内側の荒々しい削りの表現に反して、「河濱支流」の印がくっきり押され、この作品に込めた和全の強い思いが感じられる。

梶 高明(以下:梶)
よく覚えていましたね! 河濱支流は「舜河濱に陶す(しゅんかひんにすえす)」という故事にちなんでいて、その君子こそが舜と言われているんですよ。
「史記」に出てくるお話で、舜は大層徳の高い人だったようで、この人が畑を耕していると、人々があちらの土地の方が肥えているよと教えてくれて、教えに従うと豊作となった。川で魚を獲っていると、あちらの方がよいと勧められ、試しに網を入れたら大漁になった。川辺で焼物を焼くと、下物は一切なくきれいに焼き上がった。と、そういう故事です。
つまり、その貴い舜の流れを汲む人という意味ですから、永楽家でも肝入りの作品だけに使用しているようですね。

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