料理のうつわ十問十答

織部焼【前編】「へうげ」の魅力

2022.09.27
会員限定
1
0
連載:料理のうつわ十問十答

日本一の陶磁器生産量を誇る、岐阜県の東美濃地方。古くは美濃(みの)と呼ばれたこの地域の焼物が脚光を浴びたのは、安土・桃山時代のことでした。織田信長に始まり、千利休、豊臣秀吉と錚々たるスターたちが、この地の窯業に関わりました。その中で圧倒的なインパクトを放ったのが、古田織部が率いた織部焼。漫画「へうげもの」でも知られる織部の魅力について、『菊乃井』の村田知晴さんが『梶 古美術』の梶 高明さんに尋ねる今回の十問十答。前半の五問は「へうげ」とは何か? そのオリジナリティーに迫ります。

文:梶 高明 / 撮影:内藤貞保
答える人:梶 高明さん

『梶 古美術』七代目当主。その見識と目利きを頼りに、京都をはじめ全国の料理人が訪ねてくるという。朝日カルチャーセンターでは骨董講座の講師も担当。現在、「社団法人茶道裏千家淡交会」講師、「NPO法人 日本料理アカデミー」正会員、「京都料理芽生会」賛助会員。
梶 古美術●京都市東山区新門前通東大路通西入ル梅本町260 
https://kajiantiques.com/

質問する人:村田知晴さん

1981年、群馬県生まれ。『株式会社 菊の井』専務取締役を務めながら、京都の名料亭『菊乃井』四代目として料理修業中。35歳で厨房に入り、現在5年目。「京都料理芽生会」「NPO法人 日本料理アカデミー」所属。龍谷大学大学院農学研究科博士後期課程に在籍し、食農科学を専攻している。

共に学ぶ人:梶 燦太さん

1993年、梶さんの次男として京都に生まれる。立命館アジア太平洋大学国際経営学部を卒業後、『梶 古美術』に入り、現在2年目。八代目となるべく勉強中。

(第1問)

織部は地名ではなく、人名?

村田知晴(以下:村田)
信楽、備前、伊万里…と日本の焼物は産地の名で呼ばれることが多いですが、織部は地名ではないですよね?
梶 高明(以下:梶)
織部焼は、古田重然(しげなり)、通称・古田織部が茶会で使った「織部好み」のデザインの焼物の総称です。
岐阜県を走る樽見鉄道に織部という駅がありますが、織部焼の産地とは異なり、古田織部の出身地という意味で駅名が残されているにすぎません。
梶 燦太(以下:燦太)
「へうげもの」という漫画で古田織部の名を知ったという人も多いでしょうね。今の岐阜県の南部、美濃の出身で、戦国時代から江戸初期にかけて活躍した大名茶人です。
村田:
茶の湯に開眼したのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
燦太:
ご存知の通り、利休は秀吉の怒りを買って切腹を命じられたという顛末が有名ですが、その後、利休の担っていた豊臣家の茶の指南役筆頭となったのが織部です。秀吉が没すると徳川家に付き、ここでも茶頭となりました。二代目・秀忠の茶の先生でもあったようですよ。
村田:
ですが、「古染付と呉須(ごす)」の回でも伺ったように、確か古田織部は家康謀反の罪で切腹させられてしまいますよね。
梶:
そうですね、大坂夏の陣の頃です。
まず、古田織部という人は、武将でありながら、茶人として生きた人、ということを知っていただくことから、織部焼のお話を始めましょう。

ten0018-1a

この記事は会員限定記事です。

月額990円(税込)で限定記事が読み放題。
今なら初回30日間無料。

残り:4096文字/全文:4949文字
会員登録して全文を読む ログインして全文を読む
この記事をシェアする twitter facebook

この連載の他の記事料理のうつわ十問十答

無料記事

Free Article

連載一覧

PrevNext

#人気のタグ

Page Top
会員限定記事が読み放題!

月額990円(税込)初回30日間無料。
※決済情報のご登録が必要です