【レシピ付き】夏野菜のすり流し Vol.1 奈良『おか田』の「山形牛とお茄子のすり流し」
美しい翡翠色の正体は、ナス。奈良『おか田』の岡田直己さんは、この鮮やかな色を引き出すため、調理に細やかな工夫を凝らします。さらに、乳化によってムースのようになめらかな口当たりに。そこへ自家製ローストビーフを添え、昆布だしとの旨みの相乗効果を狙います。濃度を調整すれば、すり流しだけでなく、肉や魚介のソースにも応用可能。汎用性の高いレシピです。
奈良『おか田』店主・岡田直己さん作
山形牛とお茄子のすり流し
大阪『懐石料理 桝田』で16年間修業した岡田直己さん。師匠譲りの季節感溢れる華やかな八寸や、「和えたて」「揚げたて」など、瞬間の美味しさを追求する姿勢が支持されている。
今の季節、先付に提供しているのはトマトのすり流し。他にもトウモロコシやジャガイモ、万願寺唐辛子、カリフラワーなど、さまざまなすり流しのレパートリーがある。
野菜が変わっても、一貫しているのが“とろみを付けること”。トマトなら、だしをゼラチンで固めて裏漉ししたものと合わせたり、トウモロコシなら葛を使ったり。その狙いは、「合わせる食材との“からみ”を良くするため」と岡田さん。もちろん、コースの流れや合わせる食材によって濃度や凝固剤などを変える。
今回のナスのすり流しは、乳化の作用を利用。揚げ浸しにしたナスをミキサーにかけることで油と水分が混ざり、なめらかな口当たりに。そこへ添えるのが、自家製のローストビーフ。昆布だしのグルタミン酸と牛肉のイノシン酸が口の中で合わさり、旨みの相乗効果が働く。
翡翠色の清涼感と、牛肉の力強い旨みを掛け合わせた、夏らしいすり流しだ。
ナスの色と味を最優先した調理
ナスの鮮やかな翡翠色を引き出すため、岡田さんが重視しているのが鮮度。「朝採れで、実がしっかり詰まったものを使います」。さらに、揚げ方にもコツがある。揚げ時間が長いと色が付いてしまうし、引き上げるのが早いとアクが回ってしまう。目安は、プクプクッと大きな泡が立ち始めた頃。引き揚げたらすぐ氷水に落として色止めすることも大切だ。
皮を剥いたら地に漬ける。その構成は極めてシンプルで、昆布だしに塩を加えただけのもの。「カツオ節や醤油を加えると色が付きますから」と岡田さん。
これらの工程は、余計な風味を重ねず、ナスそのものの風味を生かすことにも直結している。
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