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【レシピ付き】“梅が名脇役”な料理 Vol.1 大阪『片町 川口』の「枝豆と車海老の梅あんかけ」

大阪城北詰にある日本料理『片町 川口』。店主の川口 洋さんは、和歌山・串本で育ち、幼い頃から祖母の作る梅干しに親しんできたといいます。自家製の梅干しを仕込み続ける川口さんが、相棒に選んだ食材は、出始めたばかりの「八尾えだまめ」。枝豆の青い香りと梅干しの爽やかな香りを重ねながら、それぞれの持ち味がやさしく響き合う、初夏を感じさせる一皿です。

文:船井香緒里 / 撮影:東谷幸一

目次


大阪城北詰『片町 川口』川口 洋さん作
枝豆と車海老の梅あんかけ

川口さんにとって梅干しは、幼い頃から身近な存在だった。 「朝ごはんは、祖母が作る茶粥でした。途中で味を変えたくなると、梅干しを溶き入れて食べていましたね」。故郷・和歌山県串本町の懐かしい記憶。その味が、今も料理の根底に流れている。

店で使う梅干しも自家製だ。祖母は20%ほどの塩で漬けていたが、自身は17%ほどに調整。少し黄色みを帯びた硬めの梅を選び、塩漬け、天日干し、紫蘇漬けと手間を重ねながら仕上げていく。その梅干しは煎り酒にして、造り醤油代わりに。煮詰めたその梅干しは程よく塩味が抜けるため、鱧の煮物椀の天盛りに用いたりと、余すことなく活用する。

今回着目したのは、梅干しが持つ爽やかな香りだった。 「梅あんかけにしてみようと思いました」。合わせるのは、これから旬を迎える「八尾えだまめ」。枝豆の青い香りと、梅干しの清々しい香りを重ねることで、初夏らしい一皿を目指した。

発酵枝豆で深まる、枝豆餡の香りと味わい

「八尾えだまめ」は枝豆餡にして、その風味を凝縮させる。ここに、川口さんならではのひと工夫。自家製の「発酵枝豆」を加えて仕立てるのだ。
「発酵枝豆の材料は枝豆・塩・米麹、以上です。まず米麹と塩をしっかりと混ぜ合わせる“麹切り”を行います。これを丁寧に行うことで、ムラなく発酵が進みます」。 そこに枝豆を合わせ、約2週間発酵させた「発酵枝豆」。枝豆餡の全量の1割ほど加えて形作り、蒸し器で蒸す。

「枝豆は米麹と合わさることで、甘やかな香りが生まれるです」。青々とした枝豆らしい風味に、発酵由来のやわらかな甘みが重なり、味わいに立体感が生まれる。発酵を得意とする川口さんらしい発想だが、「発酵枝豆を作るのが難しい場合は、塩で味を調整してください」と再現にも配慮する。

さらに、剥いた枝豆の薄皮は素揚げにして活用。香ばしさと食感のアクセントを加えるとともに、素材を余さず使い切る川口さんらしい始末の心もうかがえる。

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