【レシピ付き】温まる一品目 Vol.1 大阪『伏見町 栫山』の「奉書包み 松の葉蒸し」
蓋を開けると、松の清々しい香りが湯気と共にふわり。水引きをほどき、奉書紙を開いて……と食べ手の高揚感が高まったところで現れるのが大振りの松茸。ギンナン、そして飯蒸しと素材には優しく塩味が入り、それぞれのおいしさを引き立てます。「一品目で、お客様の心をグッと掴みたい」という、『伏見町 栫山(かこいやま)』店主の栫山一希さんらしい、仕掛けに富んだ料理をご紹介します。
大阪『伏見町 栫山』栫山一希さん作
奉書包み 松の葉蒸し
江戸時代以降、商人の町として発展してきた大阪の船場。2022年に開店した『伏見町 栫山』は、隅々に茶の湯の精神を宿し、さらに料理には船場の文化や日本の美意識を、店主・栫山一希さんの感性を通して映し出している。
おまかせの始まりは、店のそばの道修町(どしょうまち)が「薬の町」として親しまれてきたことから、薬膳の飲み物を。締めくくりにはその日の調理で使用した食材でだしを取った「船場汁」を供す。
料理一品目となる前菜は、「驚きを感じられたり、一斉スタートだからこそ可能な意味のある料理を目指しています」。今回のテーマ「温まる一品目」も、五感を刺激する料理を考案してくださった。

銀製の手付き鍋は、銀食器の製造で名高い新潟の燕市でオーダーしたもの。蓋を開けると、水引きをかけた奉書包みが現れる。湯気と共に立ち上る香り、料理と対面するまでのワクワク感。栫山さんの思惑通り、一気に世界観に引き込まれる。
粗塩に松葉を混ぜて「塩蒸し」に

奉書包みの下に粗塩を敷いて蒸し上げるのだが、栫山さんはここで一工夫。粗塩に乾燥させて細かく切った松葉を加えるのだ。
「蓋を一斉に取ると、空間に松の清涼感ある香りが広がります。一年中青々として枯れないことから松は縁起物として使われますが、晩秋や冬の彩りとしてもいいですね」。
『栫山』での蒸し物として、塩蒸しは重宝されている。スッポンとネギには山椒の枝を用いたり、魚を蒸し上げる際には乾燥させたミカンの葉と皮を混ぜたり。今の季節なら柿の葉など、香りが広がる植物をセレクトする。
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