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大阪『高槻 天野』天野恵明さんに聞く【5問5答】

修業先から受け継いだ庖丁と教えを胸に、大阪・高槻の地で“この街ならではの日本料理”を追求し続ける『高槻 天野』天野恵明さん。器選びや酒のラインアップ、遊び心ある甘味に至るまで、すべては「お客様にどう楽しんでいただくか」を軸にした表現です。若き店主が描く、料理人としての現在地とこれからを垣間見る五答です。

文:船井香緒里 / 撮影:東谷幸一

目次


一番大切にしている調理道具は何ですか?

もっとも大切にしているのは、おやっさんから託された一本の柳庖丁です。

大阪・心斎橋の『懐石料理 桝田』で14年経験を積み、うち4年間は料理長を務めさせていただきました。この庖丁は、独立の節目にいただいたもの。
「お前ならやっていける」。その言葉とともに手渡されました。堺の名匠「一竿子忠綱(いっかんしただつな)本舗」による尺2寸(約36cm)。昨今は、調理場の事情もあって1尺(30.3cm)が主流の柳庖丁ですが、おやっさんは昔ながらの尺2寸にこだわり続けておられます。

受け取ったのは、庖丁だけではありません。
「料理は理(ことわり)を料(はか)る」。北大路魯山人の言葉として知られるこの一言を、おやっさんから何度も聞かされました。食材の性質を知り、調理の原理を踏まえ、組み合わせの“理(ことわり)”を見極めること。さらに「美味しいもんを作るのは当たり前。その先にある“楽しさ”まで届けてこそ料理人だ」という教え。

この信念こそ、私が庖丁とともに受け継いだものです。
これからも、その想いに恥じぬ料理を作っていきたいと思います。

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