和インのマリアージュ

×貝。旨みの強さ、タイミングを計る

2022.03.22
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連載:和インのマリアージュ

3~4月は、産卵を前にした貝の身が肉厚となり、風味もより豊かになる時季です。特に、桃の節句に登場することが多いハマグリは旨みがのり、赤貝はその繊細な香り、味わいで楽しませます。しかし、貝とワインは組合せを間違えると嫌な匂いや味わいになることも。「和食こそワイン!」という2名の指南役に、失敗のないマリアージュを教えていただきます。

文:阪口 香 / 撮影:太田恭史
松岡正浩さん(京都・御所東|フランス料理『ドロワ』/ギャルソン)

尼崎市出身。山形大学に進学後、県内のホテルに就職。東京『タテル ヨシノ 芝』にてワインの基礎を覚え、パリ『ステラ マリス』へ。日本料理店『あい田』ではシェフソムリエとして迎えられた。帰国後、和歌山『オテル・ド・ヨシノ』にて支配人を務め、2016年、『柏屋』へ。フランス中心のワインと日本酒を織り交ぜたペアリングを提案。21年、レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」にてベストソムリエ賞受賞。2022年2月より、京都・御所東のフランス料理『ドロワ』ギャルソンに。(撮影:Rina)

高橋多弥さん(大阪・肥後橋|ワインバー『Sabor a mi(サボラミ)』/ソムリエール)

大阪市出身。辻調理師専門学校卒業後、料理人としてスタートを切り、サービスへと転身。ビストロ『ラ・トォルトゥーガ』やワインバー『ピュール北新地』などに勤めた後、『豚玉』(現『たこりき』)にて、今吉正力さんからヴァン・ナチュール※の熟成について薫陶を受ける。2018年、『サボラミ』開店。店では、フランス、イタリア、ドイツ、オーストリアのワインを中心に扱う。日本ワインへの造詣も深い。(撮影:Rina)

大屋友和さん(大阪・心斎橋|日本料理『翠』/店主)

高校卒業後、法善寺横丁『浪速割烹 㐂川』に入り、11年腕を磨く。2011年、東心斎橋にて独立。その後、16年に同じ東心斎橋内にて約3倍(席数は2倍)の空間へ移転。澄んだだしの椀や、白砂糖を使わず素材の滋味深さを生かした煮炊きものなど外連味(けれんみ)のない品や、和ハーブを用いた皿など、引き出しの多さでも魅了する。店に置くワインは、ほとんどがフランス産という。

※一般的には、ボルドー液を除く薬剤を一切使わず、有機栽培され手摘み収穫したブドウを使用。天然酵母による発酵で、補酸・補糖を行わず、酸化防止のために用いられる亜流酸塩(SO₂)の使用は極少量にとどめたワイン。フランスの「自然派ワイン協会(AVN)」の「ヴァン・ナチュール」の定義では、許容される合計SO₂の値は、赤ワイン・発泡性ワイン:30mg/ℓ、辛口白ワイン:40mg/ℓ、5g以上の残糖がある白ワイン:80mg/ℓとしている。

松岡正浩(以下:松岡)
マリアージュは、赤ワインから考えるのが王道です。
貝にある複雑味やほろ苦さ、ヨード香(海藻や磯の香りなど)にも赤が寄り添います。
高橋多弥(以下:高橋)
白ワインを合わせるにしても、果皮や種子を漬けて発酵させるオレンジワインがいいですね。
以前、お寿司屋さんから聞いた話ですが、オレンジワインを合わせたら魚介類の生臭さが消えた、と。果皮や種子由来のタンニン(渋味)があることは重要なんじゃないかと思います。
松岡:
でも、実は今回、白も持ってきました。日本の甲州という品種です。
世界から見て、日本を代表する品種といえば甲州と赤のマスカット・ベーリーA。今まで一度も紹介していなかったので。
大屋友和(以下:大屋)
甲州にはどんな特徴がありますか?
松岡:

山梨県を中心に栽培されている在来品種で、ブドウの果皮はやや薄い藤紫色。ワインは、多くは淡い色調で、白ワインらしい柑橘のニュアンスに程よい渋味があるのが特徴です。さらに、日本的なニュアンス、吟醸酒的な香りや醤油っぽさを持ち、丁子(クローヴ)のようなオリエンタルな香りも特徴として挙げられます。以前は、薄くて単調なワインになりがちでしたが、近年は爽やかでスッキリ系のタイプから、樽を使った比較的華やかなタイプ、そして、まだ少ないですが重厚で複雑味を持つものまで造られています。

おそらく貝に甲州ってピタリと合うワケではないのですが、何か工夫をすることで味を繋ぐことはできないかな、と思っています。

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