特集

【レシピ付き】ナスの揚げ浸し Vol.1 大阪『とよなか桜会』

「人間性が表れる料理です」。ナスの揚げ浸しをそう熱く語るのは、大阪・豊中『とよなか桜会(さくらえ)』の満田健児さん。余分なものは何も足さないベーシックな仕立てを極めようと辿り着いたのは、“浸す”工程でのひと工夫。長年悩んで編み出した秘技を、惜しみなく披露してくださいました。

文:川島美保 / 撮影:東谷幸一

目次


大阪・豊中『とよなか桜会』店主・満田健児さん作
ナスの揚げ浸し

エスプーマにヒントを得た泡醤油ポン酢のほか、大皿に盛り付けた豪華絢爛な八寸などを今から20年以上前に考案。アイデアマンとして知られる『とよなか桜会』店主の満田健児さんは、遊びと同じくらい、実は定番も大切にしている。その最たるものが、このナスの揚げ浸しだ。

「調理工程のひとつひとつに深い意味があって、丁寧さがそのまま仕上がりに表れる料理。作り手の人柄が顕著に出るので、あえて真っ直ぐ向き合うべき料理だというのが私の考え。ですから飾らず直球的に仕上げて、ナスのおいしさと美しさを素直に伝えることを意識しています」と語る。

水分をきっちり飛ばすまで揚げる

国産のころんと丸い干しエビで浸し地のだしを取るのも、先人が練り上げた王道のレシピに倣ったもの。ナスには火が入りやすいよう皮目に細かく庖丁を入れ、中央に金串を通して穴を空けるのも同じく定石通り。
ただし、「この穴には意外と知られていない、重要な役割がまだあります」と満田さん。

「ナスを揚げるのは、余分な水分を飛ばして浸し地を含みやすくするため。その揚げ加減の見極めに、この穴が役立ちます」。
温度は170~180℃の中高温。まずは色ムラが出ないようナスを箸で軽く掴んで油の中をクルクルと回転させながら火を通す。「ほら、みてください。ナスに開けた穴からプクプクと泡が立ったでしょう?これが、ナスが持っていた余分な水分が抜け切った合図。油から引き上げる目安です」。

油から引き上げたら、即氷水へ。箸で押さえて底に沈め、全体を素早くまんべんなく急冷する。このときのちょっとした加減で皮の色味が飛んでしまったり、色ムラになることもあるのだという。

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