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【レシピ付き】ひと工夫ある里芋料理 Vol.2 東京『汽素火(きすい)』の「茸の里」

今年5月、東京・日本橋人形町に開店した『汽素火(きすい)』。店名には、海水と淡水が混ざり合う“汽水域”になぞらえ、素材の持ち味を引き出す和食と、火を操る天ぷらという二つの料理を一つのコースで表現するという思いがこめられています。西麻布の名店で腕を磨いた料理長の部谷直希さんと、飲み物やサービスを担当する柴田 丈さんが奏でる、伝統と革新がせめぎ合う料理とおもてなしが、この店の醍醐味です。例えば、それはこの秋の一品「茸の里」にも。「ほっくりとした里芋に、椎茸の香りを移した濃厚な天城軍鶏(しゃも)のだしを合わせました」と部谷さん。豊かな里の秋を髣髴とさせる滋味あふれる料理です。

文:瀬川 慧 / 撮影:土居麻紀子

目次


東京・人形町『汽素火』部谷直希さん作
茸の里

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形のよい鹿児島・与論島産の里芋を炊き、椎茸の風味を移した軍鶏だしの餡を合わせた一品は、部谷さん曰く「里芋を椎茸で食べてもらう料理」だ。
里芋はごくシンプルに蒸し煮にし、ほっくりとした持ち味を生かす一方、一部はマッシュ状にしてなめらかな芋餡に。食感の異なる里芋の複合的な美味しさに、椎茸の風味と軍鶏だしの濃厚な旨みが重なり、素朴な里芋の味わいに奥行きを与えている。

やや灰紫色がかった里芋の色彩のトーンに、部谷さんの美的センスが感じられる。

塩味のバランスが大切

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「この料理の調味には基本的に塩しか使いません。だからこそ、そのバランスが大切になります」。

軍鶏だしをとるとき、里芋を蒸し煮にするとき、さらに椎茸をしゃぶしゃぶしただしに葛を引くとき。それぞれに使う塩の分量は、食材の状態によって変わるため、最終的に一皿として味わった時の味わいを考えて調整する。この料理では、仕上げにかける軍鶏だし餡の塩味で、全体の味をまとめている。肝心なのは、それぞれの素材の持ち味を生かす程度の塩加減を心がけることだそうだ。

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