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レンコンの人気レシピ10選|和食のプロに学ぶ、旬と食感を生かすアイデア

シャキシャキ、ほくほく、もちもち、むっちり。レンコンは、時季や調理法によって実に多彩な食感を見せる野菜です。みずみずしい新レンコンから、でんぷん質が増して粘りや甘みを蓄えた冬のレンコンまで、その時々の持ち味を料理人はどう生かしているのでしょうか。蓮根まんじゅうや揚げ物といった定番から、豆腐、粥、さらにはデザートまで。人気和食店のレシピ、そして、狙った食感を引き出すための調理科学の実験をご紹介します。

文:WATOBI編集部 / 撮影:海老原俊之

目次


レンコンは時季によって食感が変わる

レンコンというと、シャキシャキとした歯触りを思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど、その食感は一年を通して同じではありません。 初夏から出回る新レンコンは、水分を多く含み、白くみずみずしいのが特徴。軽快な歯触りを生かすなら、酢の物や和え物などが好適です。秋が深まるにつれてでんぷん質が増すと、粘りや甘みも豊かになり、すりおろして蒸したり、揚げたりすることで、もちもち、むっちりとした食感が楽しめるようになります。さらに冬には、でんぷん質を生かして、つなぎをほとんど使わず餅状に仕立てる料理もあります。

もちろん、食感を左右するのは時季だけではありません。産地や品種、使う節、切り方やおろし方、さらに茹でる、蒸す、揚げるといった火入れやその温度によっても、レンコンはさまざまに表情を変えます。
その時のレンコンが持つ性質を見極め、どんな持ち味を引き出すか。ここからは、料理人のレシピを通して、その多彩なアプローチを見ていきましょう。


レンコンの人気レシピ10選

持ち味を閉じ込める“練らない”「蓮根まんじゅう」——大阪『さか本』

大阪『さか本』の「蓮根まんじゅう」撮影:福本 旭

蓮根まんじゅうといえば、すりおろしたレンコンを火にかけて練り、むっちりとした弾力を引き出すのが一般的。ところが、大阪・北新地『さか本』の元大将・坂本靖彦さんは、あえて「練らない」方法で仕立てます。

すりおろしたレンコンにカツオ昆布だしと水溶き吉野葛を合わせ、茶巾にして蒸し上げることで、レンコンの土の香りをそのまま閉じ込めます。さらに注目したいのが、時季による配合の調整。秋冬のレンコンに比べて水分の多い新レンコンを使う場合は、生地に加えるだしを減らします。

同じ料理でも、その時のレンコンの状態を見てレシピを変える。蓮根まんじゅうの作り方とともに、素材の持ち味を生かす考え方も学べる一品です。

▼【動画】 “練らない”「蓮根まんじゅう」のレシピはコチラ


皮もでんぷんも余さず生かす、門真れんこんの「蓮根まんじゅう」——大阪『和楽せき根』

fea2608b_0036撮影:福本 旭

大阪『和楽せき根』の関根文幸さんが使うのは、2024年に「なにわの伝統野菜」に認定された河内れんこん。その大半が門真で栽培され、地元では「門真れんこん」と呼ばれています。

普段使う茨城・霞ケ浦産のレンコンは、みずみずしく歯触りがよいのに対し、門真れんこんは、すりおろしても水分があまり出ず、加熱するとむっちりとした食感に。粘りがあり、ほどよい弾力が出るため、蓮根まんじゅうに向いているといいます。

すりおろす際は風味を余さず生かすため、皮はむかずに。軽く水気を切った際に出る汁も捨てず、沈殿したでんぷん、そして上澄みは白玉粉を溶いて生地に戻します。さらに玉子の素を加え、柔らかな食感を目指します。

一般的な蓮根まんじゅうと仕事が異なるのは、生地を先に蒸してから成形すること。芯には、薄塩をして短時間炙った帆立貝柱のほぐし身を忍ばせます。レア感を残した帆立は、炙ることで風味と存在感が増し、レンコンとも好相性。葛粉をはたいて揚げ、最後は葛あんをかけて仕上げます。

門真れんこんの皮、でんぷん、粘りまで生かしながら、産地ならではの性質を一品に落とし込んだ蓮根まんじゅうです。

▼門真れんこんを皮ごと使った「蓮根まんじゅう」のレシピはコチラ


レンコンの部位を使い分け、特性を生かす「はすのみぞれあんかけ」——東京『懐石 小室』

東京『懐石 小室』の「はすのみぞれあんかけ」撮影:海老原俊之

東京『懐石 小室』の小室光博さんが使うのは、シャキシャキとした歯ごたえの茨城県産のレンコン。海老のはさみ揚げに、レンコンのみぞれあんをたっぷりとかけ、同じ食材の異なる表情を一皿で楽しませます。

ポイントは、レンコンの部位の使い分け。丸みがあり、水分が多くシャキシャキとした第二節は5㎜厚の輪切りにして、車エビのあんをたっぷり挟みます。穴にも海老あんを詰め、上新粉を付けて揚げますが、レンコンは火が通りやすいため、歯触りを残すよう揚げすぎないことも大切です。

一方、第三節や根元に近い、繊維質とでんぷんの多い部分はすりおろしてみぞれあんに。レンコンの汁にも香りや旨みがあるため、水気は絞りすぎず、とろみを見ながら葛粉の量を加減します。一つのレンコンを部位ごとに見極め、シャキシャキと、とろりとした二つの食感に仕立てる一品です。

▼「はすのみぞれあんかけ」のレシピはコチラ


桂剥きしたレンコンの食感が楽しい「レンコンの鹿の子揚げ」——神戸『日本料理 輪』

神戸『日本料理 輪』の「レンコンの鹿の子揚げ」撮影:東谷幸一

レンコン料理といえば輪切りやはさみ揚げが定番ですが、神戸『日本料理 輪(りん)』の山下慎士さんは、レンコンを桂剥きにしてタネを巻き、彩りも鮮やかな鹿の子揚げに仕立てます。

大根のように側面を剥くのではなく、庖丁を節の断面に対して水平に入れ、レンコンを縦方向に回しながら剥くのがポイント。繊維に沿った面と垂直に切った面ができることで、食感にも変化が生まれ、レンコンの穴模様も料理の意匠として生きてきます。

タネには、エビや枝豆、トウモロコシの他、桂剥きで残ったレンコンも刻んで加え、素材を余さず活用。仕上げには、自家製の塩レモン糀を添えます。米糀によるほのかな甘みとレモンの爽やかな香りがレンコンの甘みを引き立て、日本酒にもよく合う酒肴になります。

神戸『日本料理 輪』の「レンコンの鹿の子揚げ」の調理工程

▼「レンコンの鹿の子揚げ」のレシピはコチラ


なめらかな豆腐と、そのアレンジで二様の料理に。「レンコン豆腐&レンコン団子」——京都『瓢亭』

京都『瓢亭』の「レンコン豆腐&レンコン団子」撮影:内藤貞保

京都『瓢亭』15代目当主・髙橋義弘さんが提案するのは、レンコンの食感を大きく変えて楽しませる二品です。

「レンコン豆腐」は、以前はすりおろして作っていたものを、ざらつきをなくすために改良。レンコンを豆乳と共にミキサーにかけ、パコジェットの容器で凍らせて粉砕し、葛粉とワラビ粉を合わせて練り上げます。豆乳を使うことでコクを、仕上げにゴマ油を加えて香りを引き立てます。

そのレンコン豆腐を、粗めにおろしたレンコンで包んで揚げたのが「レンコン団子」。中のなめらかさと、外側のしゃりしゃりとした歯触りを対比させます。レンコンは時季によって水分量が異なるため、片栗粉の量を加減。水分の多い新レンコンは崩れやすい一方、秋のひねたレンコンならまとまりやすく、中はもっちり、外はカリッと仕上がります。

さらに、粘りや弾力を生かしたい時には加賀産、白さを生かしたい料理には徳島産と、産地による特徴も見極めて使い分けます。

▼「レンコン豆腐&レンコン団子」のレシピはコチラ


からし蓮根をヒントに仕立てた「餅蓮根」——兵庫『日本料理 淡流』

兵庫『日本料理 淡流』の「餅蓮根」撮影:東谷幸一

兵庫『日本料理 淡流』の中江悠文さんが主役に選んだのは、地元の「姫路れんこん」。色白で柔らかく、粘りと甘みのバランスが良いといいます。

料理の発想源となったのは、熊本名物の「からし蓮根」。同店では備前味噌を合わせた辛み穏やかなからし蓮根を以前から提供しており、そのレンコンと味噌の好相性をヒントに、すりおろしたレンコンへ万願寺味噌を合わせました。

使うのは、シャキシャキ感に加えて甘みや粘りも強い二節目。すりおろしたレンコンに万願寺味噌と角切りの蒸しアワビを混ぜて成形し、さらに輪切りのレンコンを重ねて蒸します。すりおろした生地と輪切り、二つの食感を一度に楽しませる仕立てです。

姫路れんこんが最も味がのるのは1~2月。料理を考案した9月はまだ粘りや甘みが十分ではないため、蒸しアワビの旨みと甘みを加えて補います。旬のピークではない素材を、その時季ならではの一品へと仕立てる工夫にも注目です。

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▼「餅蓮根」のレシピはコチラ


“鱧松”にレンコンを合わせた「名残鱧と松茸のはすね洋粥」——大阪『旬菜 味空』

大阪『旬菜 味空』の「名残鱧と松茸のはすね洋粥」撮影:福本 旭

秋鱧と出始めの松茸の組合せ“鱧松”に、旬を迎えるレンコンを合わせた、大阪『旬菜 味空(みそら)』の「はすね洋粥」。レンコンとご飯をほぼ半々に使い、レンコンを食感の主役に据えています。

レンコンは、細かくすりおろすのではなく鬼おろしに。粒を少し残すことで、シャリッとした歯触りを生かします。鱧の骨や皮、昆布と共にレンコンの皮や切れ端も煮出してだしを取り、料理全体に一体感を持たせるのもポイントです。

鱧だしには少量のクリームチーズを溶き、炊きたてのご飯を加えてサラリとした粥に。そこへレンコンを加えますが、火を入れすぎるともちっとした食感に変わるため、手早く仕上げます。松茸の香りはあらかじめ鱧だしに移し、子持ち鱧は身だけでなく卵や肝、心臓まで使って、秋らしい豊かな一皿に仕上げました。

▼「名残鱧と松茸のはすね洋粥」のレシピはコチラ


食感のグラデーションが心地良い、「煮穴子の蓮根豆腐包み揚げ」——京都『祇園割烹 みやじや』

京都『祇園割烹 みやじや』の「煮穴子の蓮根豆腐包み揚げ」撮影:竹中稔彦

京都『祇園割烹 みやじや』の宮地裕星さんが考えたのは、酒席の序盤から終盤まで楽しめる、軽すぎず重すぎない酒肴です。

まず仕込むのは、自家製の蓮根豆腐。木綿豆腐をベースに長芋や卵白を合わせ、そこへみじん切りのレンコンをたっぷり加えて蒸し固めます。目指すのは、ふわとろっとした豆腐の中にレンコンのシャキシャキ感が現れる食感。「ひろうすと真薯の間」のような生地に、レンコンがリズムを生みます。

この蓮根豆腐だけでも一品になりますが、日本酒のつまみとしてもう少し旨みと贅沢感を出すため、甘さを控えて炊いた煮穴子で包み、葛粉をまぶして揚げます。仕上げに汲み上げ湯葉入りの銀あんをかけて完成です。

ひと口の中で、衣のカリッ、煮穴子のふわっ、レンコンのシャキッ、豆腐のとろりと食感が移り変わります。

▼「煮穴子の蓮根豆腐包み揚げ」のレシピはコチラ


冬レンコンのでんぷん質を生かした「蓮根餅 恵方巻見立て」——大阪『小嘉津』

大阪『小嘉津』の「蓮根餅 恵方巻見立て」撮影:福本 旭

大阪『小嘉津』の早川友博さんが2月の料理として考案したのは、節分の恵方巻に見立てた蓮根餅。大豆を加えた蓮根餅を棒状に切り、海苔を巻いて香ばしく油焼きにします。

使うのは、太い徳島産レンコン。この時季のものはでんぷん質が豊富なため、片栗粉や葛粉といったつなぎを加えず、すりおろしたレンコンそのものの力で固めます。強火から弱火へと火加減を変えながら蒸し、一晩休ませることで切り出せる状態に。

さらに面白いのが、合わせるあん。すりおろしたレンコンに、鮒ずしの飯(いい)を加えてとろみを付けます。蓮根餅を油焼きにしているため、乳酸発酵による穏やかな酸味を利かせて後口を軽やかに。節分にちなみ、蓮根餅にもあしらいにも大豆を使います。

冬のレンコンの豊かなでんぷん質を生かしながら、季節の趣向と発酵の酸味を重ねた、滋味深い一品です。

▼「蓮根餅 恵方巻見立て」のレシピはコチラ


新レンコンをデザートに。「蓮根餅」——東京『京しずく』

fea2908k_3725撮影:土居麻紀子

最後は、レンコンを涼やかなデザートに仕立てた東京『京しずく』の「蓮根餅」です。

8月はまだ、シャキシャキとした食感のレンコンが出回る時季。一方、蓮根餅には本来、もちもちと粘りのあるレンコンが向くといいます。そこで片山清光さんは、蓮根でんぷん粉から作る餅と、すりおろした新レンコンを使ったものを組合せ、異なる食感を一皿で楽しませます。

蓮根でんぷん粉は、水と砂糖を合わせて強火でしっかり煉り上げることで、もちっとしながらもつるんとした食感に。一方、すりおろしたレンコンには餅粉を少量加えて蒸し上げます。さらにシロップ煮と素揚げのレンコンチップスを添え、レンコンの表情を重ねています。

合わせるのは、ショウガを利かせた自家製の冷やし飴。辛みを和らげるため、黒糖を少量加え、夏らしい涼味に仕立てます。

▼デザートの「蓮根餅」のレシピはコチラ


レンコンの食感を科学でデザインする

レンコンを「シャキシャキ」に仕上げるには?

レンコンの食感を検証する実験工程撮影:大山裕平

レンコンの食感は、時季や産地だけでなく、下処理や加熱の仕方によっても変わります。
WATOBIの「料理理科」では、東京『七草』の前沢リカさんと農学博士・川崎寛也さんが、レンコンをシャキシャキに仕上げる方法を実験。薄切りにしたレンコンを「水にさらす」「酢水にさらす」など条件を変えて比較しました。

酢水で茹でたレンコンは、白く、シャキッとした仕上がりに。酢は変色を抑えるだけでなく、レンコンの細胞同士をつなぐペクチンを硬く保つ働きにも関係していると考えられます。

さらに50~60℃で下加熱することで、パリッとした歯触りを引き出す実験も。下処理を科学的に紐解くと、狙った食感へ近づけるヒントが見えてきました。

▼レンコンの食感をデザインする【シャキシャキ編】の記事はコチラ

レンコンを「ほくほく」に仕上げるには?

レンコンの食感を検証する実験工程撮影:大山裕平

では、ほくほくした食感を引き出すには、どんな火入れが向いているのでしょうか。
「料理理科」では、2㎝厚に切ったレンコンを「揚げる」「蒸す」「茹でる」の3通りで比較。茹でたものは水分を含んでやや水っぽく、揚げたものは水分が抜けてもっちり、ねっちりとした食感に。3つの中で、最も狙った「ほくほく」に近かったのが蒸したレンコンでした。

さらに、50~60℃で下加熱してから100℃で蒸し、最後に調味しただしで煮ると、外側はシャクッ、中はほっくりという食感に。

加熱温度や水分量、切り方まで意識することで、レンコンの食感はデザインできる。プロの調理にも応用できる検証結果です。

▼レンコンの食感をデザインする【ホクホク編】の記事はコチラ


旬の特性、調理の効果を知れば、レンコン料理はもっと広がる

シャキシャキ、しゃりしゃり、ほくほく、もちもち、むっちり、なめらか――。今回ご紹介した料理を見ても、レンコンには実に多彩な表情があります。

その食感を左右するのは、調理法だけではありません。みずみずしい新レンコンなのか、でんぷん質が増した秋冬のレンコンなのか。さらに産地や部位、その日の状態を見極めた上で、切る、すりおろす、茹でる、蒸す、揚げるといった調理法を選ぶことで、それぞれの持ち味がより鮮明になります。

「今、目の前にあるレンコンなら、どんなおいしさを引き出せるか」。料理人たちの技やアイデアを、日々の献立づくりにぜひ生かしてみてください。

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