特集

【レシピ付き】5月の和え物 Vol.3 大阪『居酒屋 ながほり』

「ウチの和え物は、“軽さ”を重視しています」と話すのは、大阪『居酒屋 ながほり』の店主・中村重男さんです。「付出しのような感覚でさっぱり味わうもよし。ご飯ものを食べた後に、もう少しだけつまみが欲しい…なんて時にも」。
その味の要になるのが、昆布〆にした小松菜。旬魚の昆布〆に引けを取らない存在感を放つと言います。あえて和え衣は使わず、柑橘の酸味と乾物の旨みで芯のある味を組み立てて。初夏の素材を生かした、左党のツボを突く和え物です。

文:船井香緒里 / 撮影:竹中稔彦

大阪・上町『居酒屋 ながほり』中村重男さん作
カレイとイカと小松菜のまぜまぜ

大阪の上等居酒屋としても名高い『ながほり』の和え物は、一味違う。「素材に和え衣が絡むと、まったり重たい印象になるからあえて使いません」。中村さんが重視するのは、季節の素材らしさを生かす軽やかさだ。その軸になるのが、昆布〆にした魚菜と、柑橘、そして乾物。それぞれの素材の舌触りや旨み、酸味が口中で調和しながら、味わいの変化が楽しめるという。

「イメージは漬物」の、昆布〆小松菜

「島之内に店を構えていた30年前から、ウチでは馴染み」という手法が、季節野菜の昆布〆だ。「イメージは漬物。昆布を使った“浅漬け”の感覚ですわ。自然な旨みが欲しいからね」。この日の主役・小松菜は、さっと塩茹でした後、氷水に落とし、粗熱を取り水気を切る。薄塩を施したなら、道南・白口浜の真昆布(2年栽培)に挟む。「2日かけて昆布〆にします。これくらい時間をかけると、小松菜に昆布の旨みがちょうどいい具合になじむ。菜の花や壬生菜(みぶな)など、四季折々の葉物でも応用できます」。小松菜に合わせるアマテガレイとアオリイカも昆布〆にするのは、それぞれの素材を口に含んだ時の一体感を重視するから。「魚介は〆すぎると、小松菜に浸透した旨みと喧嘩する」と30分ほど軽い昆布〆に。「魚そのものの甘みも引き出したいから」、昆布から取り出し、2日寝かせたものを使う。

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