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【レシピ付き】洗い Vol.3 東京『一宇』

2022.06.16
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かつて花街だった東京・神楽坂は、粋でお洒落な店が多く立ち並ぶ人気の界隈。この地に今年2月にオープンした『一宇(いちう)』は、日本料理と寿司をおまかせで供する店です。お造りや小鉢、季節の料理に始まる献立は、緩やかに江戸前寿司のにぎりへと続き、クオリティの高い自家製デザートで心地よい余韻を残します。
梅雨から初夏にかけては、薬草や漢方薬としても用いられる菖蒲(しょうぶ)の香りをまとわせた「真鯛の菖蒲洗い」が登場。オリジナリティを追求してやまない、新進気鋭の主人の矜持がうかがえます。

文:瀬川 慧 / 撮影:公文美和

東京・神楽坂『一宇』濱野紘一さん作 
真鯛の菖蒲洗い

「最初、真鯛の刺身と爽やかな“菖蒲と青梅のジュレ”を合わせようと考えていましたが、下味としての香り付けに冷たい菖蒲水で“洗い”にすれば、より菖蒲のニュアンスが表現できるんじゃないかと思ったんです」と濱野紘一さん。洗いにすると魚の筋肉がキュッと収縮するために食感がよくなり、表面の余分な脂が洗われて、すっきりした後味になる。「そこに菖蒲の風味を加えることで、よりさっぱり食べられるようになります。じめじめした梅雨時や初夏にはぴったりのイメージですね」。

真鯛はあらかじめサクのまま30分くらい塩〆にし、適度に身を締めてから使用。洗いにすることで塩気が程よく洗い流され、ジュレとの親和性が高まるという。盛り付けは鮑の貝殻にも似た器に、水を打った菖蒲刀を添えて、見た目にも涼し気な一品に仕立てている。

キンキンに冷やした菖蒲湯の中で洗いに

「花菖蒲が見ごろのこの時季に、すばらしい香気を持つ菖蒲葉で真鯛を洗いにすることで涼を感じてほしいと思いました。そのため菖蒲水は菖蒲の葉を刻んで色づくまでしっかりと煮出してから、冷凍庫でキンキンに冷やしておきます」。

デザート用に菖蒲シロップなどを作る際には、薄っすら色づく程度に仕上げるが、洗いにする場合はある程度強くニュアンスを出すために、色が出るまできっちり煮出す。
提供する直前に、冷やしておいた菖蒲水を大鉢に移し、お客の目の前で洗いに仕立てる。

真鯛は、濱野さんが刺身で食べて美味しいと思う7~8㎜の厚さに切る。塩〆にしてあるため、さっと菖蒲水の中をくぐらせるだけでしっとりとした食感に。

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