【レシピ付き】ハマグリ料理 Vol.2 東京『てんぷら 前平』
『てんぷら 前平』店主・前平智一さんが披露するのは、コース料理の締め括りに供するご飯物。「ハマグリの天ぷらとだしで食べる、春らしい天茶です。食べ進めるにつれて味が変化する、楽しい仕掛けも潜ませています」。ハマグリは水分量を調整して旨みをアップ、だしは貝をもう1種加えて複雑味を増すなど、プロならではの技は必見です。
東京・麻布十番『てんぷら 前平』前平智一さん作
春のハマグリ天茶
東京・麻布十番の『てんぷら 前平』は、天ぷらの名店『てんぷらと和食 山の上』本店で研鑽を積み、料理長を務めた前平智一さんの店。おまかせコースで供される天ぷらは、シンプルかつ美しく繊細。旬の野菜や魚介のみずみずしさと後口の軽やかさに驚かされる。
加えて評判なのが、一年を通して供される締めの特製天丼や天茶だ。冬季はカリカリに揚げたゴボウとショウガの天ばらをご飯に混ぜ込んだ「穴子天ごはん」。夏は「小柱と新蓮根の冷たい天茶」。これからの3~6月は、ハマグリの天ぷらとだしで作る、旨みたっぷりのハマグリ天茶とお客を飽きさせない。
最初に器の中に柔らかな乾燥新海苔を敷き、温かいご飯で覆うように盛る。その上から、熱々の葛を引いた濃厚なハマグリのだしをかけ、主役のハマグリの天ぷらをのせる。
「最初はだしとご飯だけをシンプルに食べていただき、次第に溶けた新海苔がふわっと香る仕掛けです」。
だしと揚げたてのハマグリからしみ出す濃厚なエキスが混ざり合い、口の中はもはや旨みの春嵐。天にたっぷりのせた白髪ネギと、自家製の柚子胡椒が爽やかさを運ぶ。
ハマグリの水分量を調整し、旨みをアップ
天ぷらに使うのは千葉・九十九里浜や、茨城・鹿島灘のハマグリ。身質のいい、1個70~80gの比較的大きなものが向いているという。
ハマグリは身を傷つけないように殻から取り出し、硬い足の部分に2~3カ所庖丁を入れる。さらに、ふくらんだ身の両面にも十字に浅く庖丁を入れてキッチンペーパーに並べて包み、上から手のひらでギュッと押して水分を抜く。新しいキッチンペーパーに取り換えて再度包み、4時間以上、冷蔵庫で寝かせる。これによってハマグリから余分な水分が抜けて、旨みもアップ。天ぷらにする際に油がはねず、カラリと揚がるという。
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