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【レシピ付き】6月の酢の物 Vol.1 京都『日本料理と日本酒 惠史』

輪花皿の中には、鱧にトマト、トウモロコシと、これからが旬の食材がズラリ。その上にかかった薄黄色のジュレは、なんと自家製のパイナップル酢を固めたもので、底には土佐酢のジュレが潜んでいます。京都・二条城近くの『日本料理と日本酒 惠史(さとし)』店主・保科知史(さとし)さんが考案した酢の物は、具材の下味にも酢を使ってひと工夫。酢の味わいを巧みに重ねた仕立てがポイントです。

文:川島美保 / 撮影:竹中稔彦

京都・二条城前『日本料理と日本酒 惠史』保科知史さん作
ハモと鷹峯(たかがみね)トマト、トウモロコシの炙り パイナップル酢と土佐酢のジュレがけ

「抜群に美味しい酢に出合ったことで生まれた一品ですね」と保科さん。その酢とは、奈良・橿原(かしはら)の『中野商店』が醸造する「中野酢」。『中野商店』は、もろみ酒造りから手掛けて木桶で仕込む古式伝統製法を、今なお貫く数少ない醸造蔵のひとつ。3~4カ月静置発酵させることで生まれるまろやかな旨みに、ひと口で惚れたそうだ。

味の決め手はパイナップル酢

惚れ込んだ「中野酢」をそのまま使うだけでは、つまらない。もっと酢を楽しみやすい何かを…と昨年から作り始めたのが、自家製フルーツ酢。色味と個性を考えて春らしいイチゴと夏らしいパイナップルの2種を仕込み、これまでは炭酸や水で割ってドリンクとして提供していたが、料理にも使ってみたい…と考えていたところだったという。

「初夏の酢の物というテーマをいただいた時に、パイナップル酢を生かす良いタイミング!」と閃いた保科さん。パイナップル酢はあえて何も味は足さず、柔らかめのジュレにして仕上げにかけることで、インパクトと存在感を際立たせようと、まず決めた。

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