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【レシピ付き】夏野菜の冷製 Vol.1 大阪『大月』の胡瓜と鱧皮の酢の物 パッションフルーツゼリー掛け

大阪・福島区にある和食『大月』。店主の西口正和さんの味づくりのモットーは「和食の基本を大切にしながら、少しの驚きを忍ばせること」。その意図は、夏らしい涼やかな品にも見て取れます。キュウリと鱧皮を用いた酢の物には、大胆にもパッションフルーツを使い、“夏の香り”を忍ばせて。ミナミにある名割烹『島之内 一陽』でキャリアを積んだ西口さんらしい、和魂洋才のクリエーションをご紹介します。

文:船井香緒里 / 撮影:東谷幸一

目次


大阪『大月』西口正和さん作
胡瓜と鱧皮の酢の物 パッションフルーツゼリー掛け

「夏らしい冷製の一品で大切にするのは、食材の歯切れの良さ、さらに酸味と香りです」と西口さん。
今回使用する夏野菜はキュウリ。古くから大阪の家庭料理の定番である、キュウリと鱧皮の酢の物「鱧皮ザクザク」を、西口さん流にアップデートさせる試みだ。

「修業先『島之内 一陽』では、旬のフルーツを酢の物やサラダなどに使うことが多かったです」と話し、自店でも実践する。「調味にはできるだけ、フルーツがもつナチュラルな甘みや酸味を生かしたい。そして、旬の魚菜にフルーツを組み合わせることで、より季節感を表現します」。今回選んだのはパッションフルーツだ。

パッションフルーツは酸味の加減が重要

パッションフルーツに庖丁を入れると、一瞬にして南国に来ているかのような、爽やかかつ甘酸っぱい香りが広がる。「このフルーツは酸味が強すぎず、甘さとのバランスが良い」と西口さん。

合わせ酢のベースは土佐酢だ。「三杯酢の材料を鍋に入れて沸かしたところにカツオ節を加えます。沈んだら火を止めて濾し、板ゼラチンを加えて氷水で冷やします」。パッションフルーツの搾り汁を加えるのは、酸味や香りが飛ばないよう、冷やし固める途中に。
「料理を出すスタイルにより、果汁の分量を調整してください」と西口さん。例えば、コース料理の中の一品でポーションが小さいのであれば果汁をやや多めに加え、酸味を際立たせる。アラカルトとして提供する場合は、やや控えめに。「食べ疲れない酸味の塩梅がポイントですね」。

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