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大阪『能勢 日本料理 新』中井 建さんに聞く【5問5答】

ベルギー・ブリュッセルでの公邸料理人を経て、大阪・能勢の里山で独立した『能勢 日本料理 新(あらた)』の中井 建さん。現地での運命とも言える出会い、あえて都会ではない場所で独立をした理由のほか、食の未来を見据えた中井さんのスタンスを感じる5問5答です。

文:船井香緒里 / 撮影:東谷幸一

目次


食材高騰のいま、どのように向き合っていますか?

「身の回りにあるものを活かす」——それに尽きます。

食材の高騰には、気候変動による不作や流通の混乱など、さまざまな要因があります。能勢で暮らしていると、天候の影響で収穫が不安定になる現実を肌で感じることも多いです。

独立した2021年当初は、修業先で学んだ“正統派の京料理”を志していました。鱧やグジといった高級食材を、この里山でもお出ししていた時期もあります。ですが、次第に入手が難しくなり、発想を転換しました。「ここにあるものを活かそう」と。

今の季節なら、秋なすが毎日のように採れます。庖丁を入れ、ひと手間を加えるだけで、煮浸しひとつも立派な一品になります。近くの山で採れた木の実や野草、農家さんが育てた柑橘をシロップや醤油に漬けて保存もできます。ユスラウメは氷砂糖で半年漬け、ノビルの醤油漬けはジビエのソースに。鹿やイノシシの力強い旨みに寄り添ってくれます。

どれも高価な食材ではありませんが、この土地でしか出会えない“唯一の味”があります。
これからも「ここにしかないもの」を見つめ、活かし、料理として届けていきたいと思います。

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