佐々木 浩流、8月の献立の立て方【後編】
『衹園 楽味』の8月の献立の試食会では、前編に引き続き、「夏らしい仕立て」がテーマ。そんななか、『祇園さゝ木』店主の佐々木 浩さんが弟子の料理を試食し、「料理人の基本」を改めて説く場面も。後編では6品の料理を試食します。
『衹園 楽味』:料理は先付、造りの後、魚・肉・野菜のネタ箱が豪快に並べられ、どう調理するか、料理人とお客がやり取りをして料理を決めるスタイル。「おすすめ」の品書きから選ぶことも可能で、試食会では先付と「おすすめ」の料理を決めるため、料理人がそれぞれ試作した1~3品を披露。佐々木 浩さんとスタッフ数人が試食し、ブラッシュアップを図る。
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佐々木 浩さん(『衹園 さゝ木』店主)
1961年、奈良県生まれ。前衛的な味と軽妙な話術で場を盛り上げるカウンターの名手。98年、36歳で独立し、衹園町北側に『衹園 さゝ木』開店。2006年、現在の地に移転してからはいよいよカリスマ性を発揮。「弟子を育てる店造りを」と再度改装を施し、23年8月、リニューアルオープンを果たす。直営店の『衹園 楽味』は「大人の居酒屋」をコンセプトに掲げ、2013年に開店。アテをつまみながらお酒を楽しめる『食ばぁー 楽味』併設。
『衹園 楽味』の料理人。上左/髙橋貴明さん。2015年入店で、煮方を務める。上右/水口直規さん。2016年入店で、焼き場を担当。下左/向板の堀越優希さんは、2022年入店。下右/千谷友哉さん。2021年入店。
試食したのは佐々木さんのほか、左/『衹園さゝ木』女将の佐々木太津子(以下:太津子)さん、中/取締役の佐々木結花(以下:結花)さん、右/ソムリエの佐々木恭輔(以下:恭輔)さん。
堀越優希さん作──いちご煮
- 堀越:
- 青森県の郷土料理で、ウニと鮑の吸い物のことをいちご煮というのですが、アレンジして玉締めを合わせて冷製にしました。
上のあんには、鮑を炊いた時に出た汁を使ってます。
ウニのペーストを加えた玉締めにウニと鮑をのせ、鮑を柔らか煮にした時の煮汁をあんにした。ウニ、鮑、水溶きワサビを添えた。
- 太津子:
- 玉締めの喉越しもいいですし、とっても美味しいと思います。
- 佐々木:
- うん、コレええと思うわ。めっちゃ美味い!
ただ、これやと先付レベル。僕やったらもっと浅い器に玉締めを入れ、その上一面にウニを敷き詰める。鮑も3カン盛るな。玉締めの量を減らして、ウニ・鮑の割合を上げるんや。「わー食った!」「堀越君、好きよー!」ってなるで!
- 堀越:
- (笑)!
「贅沢したな」って気になりそうです!
- 佐々木:
- そういうこと。
あと、このタイプの料理には「塩ウニ」の方がええで。なぜなら口の中で溶けるのが速いから、玉締めと同じように溶けてなくなるねん。
- 堀越:
- 一体感ですね。変更します!
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