うつわ×食ジャーナル

料理のうつわから茶盌(ちゃわん)まで。辻󠄀村史朗さんの50年を4つの展覧会で体感

2022.05.09
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連載:うつわ×食ジャーナル

陶芸家の辻󠄀村史朗さんはブルージーンズを着こなす格好良さでも知られます。自由奔放、それでいて求道的でもある作品は、2007年、ベネチアビエンナーレ アルテンポ館に招待展示、メトロポリタン美術館や大英博物館にも収蔵されるなど国内外で高い評価を得るだけでなく、多くの料理人からも熱い支持を集めています。うつわから茶盌、書や絵画まで、辻󠄀村さんの世界を網羅する4つの展覧会が開催されます。

撮影・文:沢田眉香子

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朝鮮の日常のうつわを、日本の茶人が茶碗として転用したのが井戸茶碗。梅花皮(かいらぎ)と呼ばれる、自然にできたガラス質の縮れが見どころ。(撮影/伊藤 信)

料理人から愛され、憧れられる理由

どんな料理も安心して委ねられる包容力。辻󠄀村さんのうつわが料理人に愛される理由は一言でいうと、それに尽きる。桃山陶のように豪快な印象がありながら、自然にできた土のキレや破れも大胆に生かすモダンな造形センス。風格とアート的な新鮮さを併せ持つ。

粉引は、ふくよかなアイボリーホワイトの化粧土の下に黒い土の色がほのかに透けて、まるで雪解けの景色のよう。信楽や伊賀焼の焼締、樂焼や志野焼、備前焼や唐津焼など「日本各地のやきものの土は、ほとんど使ったかもしれない」というほど。時代のついた古いうつわのような風合いを求めて、焼き上がった作品をアトリエの庭で“熟成”させることもあるそうだ。さまざまな土の風合いを引き立てながら、多彩なやきもの作品を展開してきた。

辻󠄀村さんは、1947年、奈良県生まれ。10代後半に洋画家を志して上京。自己探求への思いから禅寺で修行に入っていた時期もあった。日本民藝館で見た大井戸茶碗に感動したことがきっかけで陶芸を志し、以来、人里離れた奈良の水間町に自ら自宅兼工房を建て、50年間、誰にも師事せず我流で作陶を続けてきた、孤高の人だ。

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