うつわ×食ジャーナル

世界一予約が取れない『ノーマ(noma)』。京都でのポップアップのテーブルを飾った、和のうつわ作家たち

“世界一予約が取れない”と言われるレストラン『ノーマ』が、「エースホテル京都」でポップアップレストランを5月20日まで開催します。アートのような食材の組合せ、盛り付けで、北欧の食が世界に注目されるきっかけをつくった『ノーマ』。今回のポップアップは、料理だけでなく空間、サービスに至るまで、洗練された世界観が貫かれています。その“ノーマ劇場”を支えたのは、日本のうつわでした。

撮影・文:沢田眉香子

jou3985bBGMは鳥のさえずり。京都にありながらノルディックな空気。家具や装飾、すべてをこのポップアップのため一からオーダーし、設えた。

“世界一のレストラン”がリスペクトする日本料理の美意識

『ノーマ』は、シェフのレネ・レゼピが、デンマーク・コペンハーゲンに2003年にオープンさせたレストラン。「ザ ワールド ベスト50レストラン」で4度も1位、ミシュラン最高位の3つ星、持続可能なガストロノミーに贈られるグリーンスターも獲得した。

「ニュー・ノルディック・キュイジーヌ(新北欧料理)」というスタイルを打ち立て、世界にイノベーティブレストラン潮流を起こした『ノーマ』。革新的と言われた点は、地域性、季節感を綿密にリサーチして、それを実験的なスタイルで表現したこと。そのエッセンスである地産地消や旬の尊重は、我らが日本料理の精神と極めて近い。

『ノーマ』のポリシーは、ポップアップでも同じ。準備のため京都にチームを派遣し、2年をかけて地元の生産者、旬の食材をリサーチしたそうだ。

五感で味わう“ノーマ劇場”

会場は「エースホテル京都」3階、自然光がふんだんに注ぐ開放的な空間で、このためにオーダーした家具やデコレーションが設えられた。インテリアデザインに昆布とカラー畳がフィーチャーされ、デコレーションにはカツオ節。「北欧から見た日本」のエキゾチシズムが、ちょっと面映(おもはゆ)いものの、気持ちのいいダイニングだ。

フロアを回るサービススタッフは、出でたちこそカジュアルながら(タトゥー率も高い)、その立ち居振る舞いは、芝居のようにクールでパーフェクト。時折、厨房から「イエス! シェフ!」という料理人たちの号令が聞こえてきて、そのたび緊張感が走る。

『ノーマ』を描いたドキュメンタリー映画に「ノーマ、世界を変える料理」(2015)があるが、ダイニング空間自体が、映画か舞台の中の世界のようなのだ。

jou3930cインテリアには、なんと昆布と畳が使われていた。サービススタッフは、デンマーク、日本だけでなく世界中から集まった。超長いメニュー説明も澱みなく見事!

舞台の主役は、料理とうつわ。テーブルウエアも食材と同様、日本の生産者をリサーチし、陶芸、木工、金工から約20人の作家、職人が選ばれた上で、『ノーマ』オリジナルが発注された。

“世界一のレストラン”に選ばれた日本のうつわ作家は誰?お料理と共にご紹介しよう。

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