『奈良 而今』1月の献立の立て方【前編】
奈良の地で10年の歳月を重ね、今や1年先まで予約が埋まる日本料理『奈良 而今(にこん)』。その魅力は、店主、清水唱二郎さんが徹底して料理の“できたて”にこだわる姿勢、そして日本の歳時を織り込んだ献立にあります。それはまさに、「而今」——「今、この瞬間に成すべきことを成す」という禅語の精神を、料理で体現しているかのよう。コースの山場は、日本料理の“華”である八寸。1月は新年を寿ぐ趣向で組み立てます。
清水唱二郎さん:1983年、奈良県生まれ。辻調理師専門学校卒業後、奈良、大阪の料亭や割烹で修業を積み、京都『祇園 にしかわ』では二番手を務めた。2016年9月に『奈良 而今』を開業。「ミシュランガイド奈良」では2つ星を獲得し続けている。
八寸を山場に、献立を展開
開業から10年を迎え、献立の流れや月ごとの器については、自分の中にある程度の“型”ができてきました。月末に仕入れの状況を確かめながら献立を書き上げ、スタッフと共有するのが基本です。
通常の構成は、先付、煮物椀、造り二種、お凌ぎ、八寸、焼き魚、温菜、ご飯、そしてデザート二種、抹茶。ただし1月だけは例外で、先付に白味噌の小吸物を提供し、酒肴をはさんでから造り二種、お凌ぎ、煮物椀、八寸へと続く流れに。新年を寿ぐもてなしを組み込みつつ、汁物が続かないよう煮物椀を提供するタイミングを変えています。
献立の山場は、やはり八寸。日本の年中行事や季節の移ろいを感じていただき、「あぁ、日本料理を食べたなぁ」という余韻を味わっていただきたいと思っています。
仕込みも工程も多い八寸を限られた人数で提供するのは容易ではありませんが、他の国にない日本ならではの料理だからこそ、当店では欠かしません。調理法や表現だけでなく、その背景にある考え方や精神性をスタッフに伝えていくこと——それもまた、八寸を出し続ける理由のひとつです。
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