【レシピ付き】野菜のポテンシャルの引き出し方 Vol.1 淀大根編
「最近、味をしっかり感じる無農薬野菜を使う機会が多いのですが、もっと素材らしさを引き出せたら…と試行錯誤していまして」と話すのは、大阪・北新地の人気割烹『柳田゛』店主の柳田浩一郎さん。曰く、「先日食事に伺った京都『ORTO(オルト)』さんの、野菜本来のポテンシャルを生かし切った料理の数々に感動して…。その技を、学ばせていただきたいんです」と、野菜使いの名手として名高い谷村真司シェフの元へ。「ウチの野菜料理の調味はとてもシンプルです。野菜が持つ多様性をいかに引き出してあげるかが大切ですね」。前編では、シェフの地元・久御山(くみやま)町で採れた、「淀大根」をテーマにシェフの技を伝授いただきます。
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谷村真司さん(『ORTO』店主)
1976年京都府南部・久御山町出身。京都のイタリアンやフレンチで経験を積み、祇園『リコルディ(閉店)』のシェフを経て渡伊。トスカーナ州とリグーリア州のリストランテで修業をした後、2008年に京都・三条烏丸に『リストランテ オルト』開業。2016年、各国のエッセンスを取り入れたレストラン『ORTO』としてリニューアル。さらに2018年には、姉妹店のスパイス料理『CURRY PLANT』を開く。
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柳田浩一郎さん(『柳田゛』店主)
1983年宮崎市出身。辻調理師専門学校を経て、大阪・天王寺『日本料理 たかおか(閉店)』や心斎橋『梅市』で経験を積む。さらに5年半『島之内 一陽』で研鑽を積み、2016年に北新地で割烹店『柳田゛』を開く。基本は8品のおまかせコースながら、お客の好みになるべく添い、その機敏な対応も好評を得ている。無農薬野菜は「安心して味わえる、味の濃い季節野菜を」神奈川から取り寄せたり、大阪・福島区の青果店『Bonnie Tone(ボニー トーン)』で仕入れる。
淀大根を“自らの水分で蒸す”、驚きの加熱法
- 柳田浩一郎(以下:柳田)
- 先日はお食事に伺わせていただき、感動の連続でした。どの皿も、野菜本来の味わいが見事に引き出されていて、ただただ驚きで…。
- 谷村真司(以下:谷村)
- 嬉しいですね。野菜が持つ個性をしっかり感じられるよう工夫しています。だけど、味の組み立て方は至ってシンプル。アクセントにハーブやスパイスを加えることで、一皿の中に少しのメリハリをつけ、緩急のあるコース展開にと考えています。
- 柳田:
- 今日は、谷村シェフに弟子入りさせていただけるという、またとない機会。ですので、どんどん質問させてください。
- 谷村:
- もちろんです。
前半の主役は「淀大根」です。京都では、冬になると巨大な丸大根で、緻密な肉質の「聖護院だいこん」が出回ります。その中でも、僕の地元・久御山町の一口(いもあらい)地区で採れるものは淀大根とも呼ばれ、甘く爽やかな香り、柔らかくても荷崩れしない身質が評価されています。重量は2kg近くありますが、ちょっとしたコツを用いて“丸ごと”蒸し上げます。左が生、そして右が蒸し上げた淀大根です。
- 柳田:
- おっきな大根を丸ごと⁉
まさか、そのまま蒸し器に入れてらっしゃるのですか?
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