日本料理のことば

【レシピ付き】秋刀魚の南蛮漬け

南蛮漬けは、魚や肉、野菜を油で揚げ、香味野菜と共に甘酢に漬け込む料理です。アジや鮭、鶏肉などを主役に、玉ネギをたっぷり添えたスタイルが定番です。今回「辻󠄀調理師専門学校」の岡本健二先生に教わったのは、秋刀魚(サンマ)を使った南蛮漬け。今年は豊漁との報もあり、脂の乗った旬の味覚を、イチジクや南瓜と共に、季節感あふれる一皿に仕立てていただきました。特筆すべきは、南蛮酢を2種用いて、それぞれに異なる素材を漬け込んでから盛り合わせること。秋刀魚の特徴を活かすと同時に、奥行きのある味わいを生み出しました。

聞き書き:阪口 香 / 料理制作:「辻󠄀調理師専門学校」岡本健二
撮影:東谷幸一 / 協力:辻󠄀調理師専門学校

目次


秋刀魚の身、ワタ、骨まで活かした南蛮漬け

今回「南蛮漬け」というテーマをいただき、定番食材で仕立てても芸がないなぁ…と思っていたところに、「秋刀魚が豊漁!」というニュースが飛び込んできて。脂のりが良くて身はふっくら、もちろんワタも美味い。これを活かした南蛮漬けを作りたいと思いました。

まずは基本となる南蛮酢。酢の気が飛ばないように準備した合わせ酢に、炒めた玉ネギと白ネギ、さらにショウガ・たかの爪・スダチも加えて、ゆっくり冷まして風味を出します。
そこから半量を取り出し、秋刀魚のワタと合わせます。ワタはフライパンでじっくり火を入れ、旨みと香りを引き出すのがポイント。秋刀魚のワタならではのコクが加わった南蛮酢が完成します。

基本の南蛮酢には、秋の味覚を漬け込みます。今回は皮ごと食べられるイチジク「ビオレソリエス」、そして素揚げした南瓜とマイタケ。イチジクは柿など、水分が出にくい果物に変えてもいいですね。
一方、ワタ入りの南蛮酢には、小麦粉をまぶしてカリッと揚げた秋刀魚。揚げることで水分が程よく抜け、酢がしっかり染み込みます。どちらも一晩冷蔵庫で寝かせ、味を馴染ませます。

食べるとさまざまな食感と風味が楽しく、なかでもワタのコクをまとった秋刀魚や、酸味と好相性の甘さを持つイチジクが印象的。素揚げした秋刀魚の中骨もいいアクセントになります。
秋の実りを存分に楽しめる、今季ぜひ試していただきたい南蛮漬けです。

▼「南蛮」の言葉のはなしはコチラ

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