日本料理のことば

【レシピ付き】沢煮椀

豊かな旨みを蓄えつつ、後味すっきりの吸地が好印象。今回「辻󠄀調理師専門学校」小川 健先生に教えていただいたのは、鶏ムネ肉と昆布から取っただしで仕立てた沢煮椀です。このだしは取るのが簡単な上、おでんや煮物の煮汁など汎用性が高いのも嬉しいところ。だしを取った後の鶏ムネ肉は彩り豊かな野菜と共に具材にし、無駄にしません。

聞き書き:阪口 香 / 料理制作:「辻󠄀調理師専門学校」小川 健
撮影:東谷幸一 / 協力:辻󠄀調理師専門学校

目次


簡単に取れる鶏だしで、上品&旨み豊かな一椀に

一般的に沢煮椀は、豚の脂身と種々の野菜を取り合わせ、吸地でさっと煮るすまし汁仕立て。今回「動物性のしっかりした旨みがありながらも、あっさりした後口のだしにできたら」と思い、豚の脂身以外の食材も試してみました。クジラベーコンもよく使いますが、硬さとクセのある風味が少し気になって。「鶏ムネ肉はどうだろう?」と、だしと具材の共地仕立てにしてみたら、目指していた味わいに仕上がりました。

調理は簡単。ボウルに鶏ムネ肉と昆布、塩を入れて熱湯を注ぎ、ラップをかけて20分おくだけ。昆布の旨みが十分に出て、かつ鶏ムネ肉に火が入るんです。

鶏だし汁を火にかけると、たんぱく質の凝固作用でアクが浮き、取り除くと透明に。塩と薄口醤油で調味したら吸地の完成です。

鶏ムネ肉は直火にかけていないので、身質がしっとり。だしガラにならず、細く切って具材に使います。他、ジュンサイ、ウド、ニンジン、三つ葉と彩り良い野菜と共に盛り付け、吸地を張ります。黒コショウをかけると味にパンチが出るので、初夏の吸い物に向きますね。

鶏ムネ肉のだしは肉の量を増やし、みりんや酒、醤油で調味したらおでんだしや煮物の煮汁としても使えますよ。

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