【4月】こんな時、英語でなんと言う?
4月から大阪・関西万博も開幕し、外国人と接する機会が増えてきます。新連載「教えて!英語で伝える“和食”」では、旬の食材を大切にし、古来の風習や行事に沿った料理を提供する和食を、英語でどのように表現したら伝わるのか。質問者の疑問を、海外で和食の魅力を発信する『京料理 たか木』の髙木一雄さんに投げかけ、お答えいただきます。
日本独自の文化を英語で伝えるのは難しく考えがちですが、意外と自分が知っている単語を組み合わせていくだけでも伝わるもの。直訳できる英単語がそもそも存在しないこともあるので、最初からすべてを説明すると考えるよりも、この料理がどんな料理なのか、なにを楽しんでほしいのか、など、一番伝えたいことを明確にすることが大切です。
髙木一雄さん:1972年、大阪生まれ。料理教室を営む母の影響により、料理の道へ。大学在学中に老舗料亭『大和屋』で修業を始め、『京大和』でさらに研鑽。2005年、兵庫・芦屋に『京料理 たか木』をオープンする。バンコクやモルディブの日本料理店の監修や、海外や国内のシェフとのコラボ、商品開発なども積極的に手掛ける。イギリス留学の経験もあり、柔軟で、ワールドワイドな視点の持ち主。
文:奥田眞子

山菜ってどう伝えたらいい?
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質問者
- 日本にあって、海外にない食材の説明が難しいなと思います。例えば山菜。「山に生えている草」「春の野菜」といった感じで説明し、写真を見せたりするのですが、どう言うと伝わりやすいですか。
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髙木
- まず、山菜を日本語でどう説明できるかを考えた時に、簡単に表すなら「山の野菜」と言えますよね。だから「Mountain vegetables」でOKです。あとは、自然に生えているもの、“野生の”を意味する「Wild」を付けて、「Wild Mountain vegetables」と言うとより伝わりやすいと思います。
さらに「春の、かなり季節的な食材」=「Spring Seasonal(季節的な) ingredients(食材)」と言い添えてあげるといいですね。「Seasonal ingredients Only 1 month.」でも十分伝わりますよ。
<補足>山菜は日本だけでなく、アジアでは割と食べられている食材です。欧米の方でも、見たことがあるということもあるので、写真を見せてあげるのは良い方法だと思います!
白子は「魚の白い卵」?
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質問者
- 以前、海外で日本料理のイベントを行った際に、フグの白子を直訳すると気持ち悪いと感じられるようだったので「魚の白い卵」と伝えました。これから鯛の白子も出てきますし、冬にはタラ白子やフグ白子もよく使います。説明の工夫で受け入れられるものなのか……どのようにお伝えされていますか。
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髙木
- 白子は、「魚の白い卵」=「White fish roe」という説明が一番適切だと思います。そもそも欧米では魚の内臓を食べるのは一般的ではないので、白子を直訳すると引かれてしまうことの方が多いかもしれません。
美味しいと感じてもらえたら問題ないですから、まずは食べてもらうのがいいと思います。「これはなに?」と聞かれたら、僕の場合は、まずこれは内臓=「Guts」だということを伝えた上で、「日本では新鮮な魚が手に入るから、内臓も食べます」と説明します。「We have fresh fish and eat fish guts in Japan.」ですね。
それでも気持ち悪がられるようだったら、無理強いはできませんよね。「You don’t have to eat, if you don’t like it.」と言って、お下げする方がいいかと思います。
ちなみに、ヨーロッパでは「テット・ド・ヴォ―(仔牛の頭)」など動物の脳みそを食べる文化がありますが、クリーミーな味わいは似ているようですよ。「This has a creamy taste, similar to tête de veau.」とお伝えするのもアリかと思います。
<補足>フグは「blowfish」や「pufferfish」、鯛は「sea bream」や「red snapper」、タラは「cod」や「codfish」と言いますが、使い分ける必要性はあまりない気がします。すべて「White fish roe」で伝わります。
海藻は「日本名」+「seaweed」?
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質問者
- 海藻のことを「Wakame seaweed」「Nori seaweed」など「日本名」+「seaweed」でお伝えしています。通じているようなので大丈夫かな、とは思いますが、より良い伝え方はありますか。また、海苔を苦手とする地域の人がいる、と聞いたことがあるのですが、どのエリアの方なのかご存知でしょうか。
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髙木
- その伝え方でいいと思います!「Wakame」や「Nori」 は海外の方にもだいぶ浸透してきた言葉ですし、「seaweed」を付けてあげると、十分伝わります。
海苔は、たしかに昔は欧米の方は食べなかったですが、カリフォルニアロールの出現などで、今は特に敬遠される食材ではないと感じています。フランスでは30年ほど前に誕生した海藻バターも人気ですしね。以前は受け入れられなかった食材でいうと、タコやイカも同じですね。ですが、今はフレンチのコースのメイン料理になっていたりもします。嚙み切れない食材を嫌っていたので、「餅」も避けられていたけど、今は「mochi」という言葉自体が食感の意味と合わせて世界中に広まっています。僕のタイのお店では、お客様の目の前で季節の果物を使ったフルーツ大福を作って提供していますが、「mochi!」と、むしろテンションが上がる方が多いように感じています。
筍料理の説明はどうする?
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質問者
- 英語初心者です。筍=「bamboo shoots」というのは調べたのですが、なるべく短い英単語で、「若竹煮」「土佐煮」「筍ご飯」「木の芽和え」など、定番の筍料理をなんと言ったら伝わるのか教えて欲しいです。
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髙木
- そもそも日本ならではの料理である若竹煮や土佐煮などを表す英単語はありません。むしろ、どういった料理なのかを説明してあげる方がいいかと思います。
まず、日本人にとって筍はどういう食材か。春の象徴だと言ってしまってもいいのではないでしょうか。「Japanese bamboo shoots are spring symbol. 」です。それくらい人気の高い食材だと伝わります。
若竹煮は、どちらも春の食材である筍とワカメの異なる食感を楽しんでほしいと説明します。筍の食感はコリコリ=「crunchy」が一番近いと思います。ワカメの柔らかさは「softy」。だから、簡単に言うなら「Enjoy, different texture crunchy and softy.」
土佐煮は、筍とカツオ節=「dry bonito」の料理ですね。必ずしも筍だけではないですが、名前の由来を説明してあげるといいと思います。土佐というのは高知県の古い呼び名=「Tosa is former name of Kochi Prefecture.」で、カツオ節が名産品=「specialty」だということ。土佐煮は、カツオ節で旨みを足した料理といえますね。なので「When we use dry bonito and more Umami, it’s called Tosani」で伝わるのではないでしょうか。
筍ご飯は、家庭料理=「home cooking」としても人気の高い、日本人が特に好きな料理=「Japanese favorite meal」ですね。
木の芽和えは、香りを楽しんでもらう料理。木の芽は、「Japanese Pepper Leaf」もしくは「Japanese Sansho Leaf」。僕は、春の香り=「The Spring Aroma」だとお伝えしています。「匂い」という意味を持つ「Smell」より、いい香りをお伝えしたいときは「Aroma」の方が適切だと思います。
またこれらは、春の定番の料理=「Classic recipe」だと言ってあげるといいと思います。
このフレーズはよく使いますし、海外の方に喜ばれますよ。
<補足>筍はアジアではよく食べられる食材ですが、中国・台湾・タイのものと違い、日本では、春の2カ月ほどの間にしか獲れないもの。だからこそ、より特別な春の食材です。日本の筍=「Japanese bamboo shoots」と強調してあげるのがいいと思います。
お礼の伝え方を教えて!
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質問者
- お客様が店からの帰る際に、「何が美味しかったですか?」と伺うのですが、その答えに対して「Thank you very much!」としか言えません。こちらから聞いておいて、それしか言えないのがなんだかなぁと思っています。英語が得意ではないので会話を続けられるワケではないのですが、お礼のバリエーションや、気の利いた言い回しを知れると嬉しいな、と思います。
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髙木
- コミュニケーションをとろうとする姿勢が良いと思います!
まず、「何が美味しかったですか?」は、「What did you like the most?」または「Which dish was your favorite?」などといいますが、僕はもっと簡単に「What was your favorite dish?」と聞いています。どういった答えが返ってくるかによって、こちらの返し方も変わってきますね。
例えば、すっごい褒められたりしたときは、僕は「ありがとうございます。今日はよく寝られます」=「Thank you so much! I can sleep well tonight.」と返したりしています。外国の方にウケがいいです。また、毎月コースが変わって、季節ごとに違う食材を使った料理を出していることを伝えます。簡単に表すと「We use different ingredients and change menu every month.」。コースが月替わりなのは、日本料理ならではですから。
お礼のバリエーションや気の利いた言い回しも必要かと思いますが、まずは会話をする姿勢だったり、気持ちが大切かなと思います。コミュニケーションをとろうとしてくれる姿勢が、より満足感を感じていただけるのではないでしょうか。日本人のお客様でも同じですよね。
<補足>「こんにちは」「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」などの挨拶は日本語のほうがいいと思います。気持ちが伝わりますし、外国の方にも喜ばれますよ。
髙木さんに質問したい方は、watobi@amakara.netに質問内容をお送りください!
【件名】髙木さんに質問【本文】質問内容
お待ちしております!
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