【9月】こんな時、英語でなんと言う?
本連載が始まって6回目。これまで『京料理 たか木』の髙木一雄さんに、節句や旬の食材、日本独自の文化・風習を英語でどう伝えるべきなのか、たくさん聞いてきました。今回は、4~8月の内容を振り返りつつ、9月の重陽の節句や月見についての説明の仕方、そして改めて“対 海外の方”に和食を理解してもらうために押さえておくべきポイントを教えていただきます。
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髙木一雄(兵庫・芦屋『京料理 たか木』店主)
1972年、大阪生まれ。料理教室を営む母の影響により、料理の道へ。大学在学中に老舗料亭『大和屋』で修業を始め、『京大和』でさらに研鑽。2005年、兵庫・芦屋に『京料理 たか木』をオープンする。バンコクやモルディブの日本料理店の監修や、海外や国内のシェフとのコラボ、商品開発なども積極的に手掛ける。イギリス留学の経験もあり、柔軟で、ワールドワイドな視点の持ち主。
OMAKASEの意味
和食や寿司が世界に広まり、最近は日本の食文化がかなり浸透してきたと言えますが、懐石などの日本料理がどういうものかをご存知の方は少数です。日本人にとっては当たり前でも、海外の方には大前提としてお伝えすべきことがあります。
まず、“おまかせ”の意味についてです。英語では「Up to chef」。シェフに一任するコース料理の意味です。日本では懐石料理店で使われることが多いですよね。 OMAKASEとして、海外でも通じるようになっていますが、実はOMAKASE=SUSHIと捉えている人が多いのです。なぜかというと、海外には日本料理店よりも寿司店の方が多く、そのほとんどがOMAKASEと謳っているから。
近頃は日本でもコーススタイルが多くなりましたが、本来、寿司は単品で好きなネタを注文するもの。各地で魚が獲れ、冷凍技術も優れている日本だからこそ可能なスタイルとも言えます。
でも海外では仕入れが不安定だったり、輸送コストがかかったり、または最初から値段設定していた方がわかりやすいなどの理由からOMAKASEが主流となっています。偏ったネタばかりオーダーされると営業できなくなりますしね。
なので、和食でOMAKASEと書いてあったら、SUSHIが食べられると期待されることが多いのです。実際に、バンコクの店では、私たちのお店は懐石料理店であること、ここでは寿司は食べられないということをあらかじめお伝えするようにしています。「We are a Kaiseki restaurant, not a Sushi restaurant.」で十分伝わります。
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