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【レシピ付き】真丈椀 Vol.3 東京『和氣 旬』

四角く切った端正な姿の真丈に、大振りのアワビをのせて。付合せには、グリーンアスパラガスや新ショウガの千切り、アケビの新芽。東京『和氣(わき) 旬』の宮原 瞬さんが作るのは、見た目にも豪華な真丈椀です。「最も意識したのは、食感です」と言うように、なめらかな真丈に対し、いろんな食感が楽しめる仕立てに。そのコントラスト、さらに、アワビの深い旨みを生かす技にも注目です。

文:瀬川 慧 / 撮影:海老原俊之

東京『和氣 旬』宮原 瞬さん作
鮑とうすい豆の真丈椀

宮原 瞬さんは、長年『銀座 小十』の奥田 透さんのもとで研鑽を積み、今年2月、日本橋に『和氣 旬』を開いた。華やかな銀座に対して、日本橋は今も江戸情緒が残る歴史ある街。食べることが大好きな老若男女が集まるこの街で、伝統的な仕事と共に、和牛赤身肉の炭火焼などを融合させた、新しい日本料理の探求に意欲を燃やしている。

「この時季は千葉の黒アワビと色鮮やかなうすい豆を使い、ふんわりなめらかで香り高い豪華な真丈椀に仕立てます」と宮原さん。

最も意識したのは、その食感。真丈は、吸い地と調和するよう、なめらかに仕立てる。付合せには、贅沢な蒸しアワビを。さらに、淡い苦味のグリーンアスパラガスと優しい辛みが際立つ新ショウガの極細せん切り、アケビの新芽でシャキシャキとした柔らかな食感を添える。すべての椀種が、きりっと香り高い一番だしの吸い地と相まって、口福が花開く。

アワビの旨み溢れる真丈に

真丈の主役は、アワビ。深い旨みが感じられるよう、ベースとなるすり身に生のアワビをすりおろしたものを加えている。さらに、小さな角切りを合わせ、アワビらしい食感も楽しませる。

また、濃度や硬さを調整するため、通常は昆布だしなどを使うところ、蒸しアワビの蒸し汁を活用する一工夫も。「これなら真丈のどこを食べてもアワビが感じられるでしょう」。
うすい豆で彩りを添え、美しく豪華な真丈に。

真丈には余計な調味をせずに仕上げるのもコツ。真丈地とアワビ、塩少々を加えた昆布だしに浸けたうすい豆の塩分だけで仕上げる。味をみて、吸い地でバランスを調える。「最初はうすい豆のすり流しを張ろうと考えましたが、それではアワビの風味が弱くなってしまってもったいない。シンプルな一番だしの吸い地だからこそ、アワビの香りや美味しさが引き立ちます」。

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