【レシピ付き】初夏の造りの新提案 Vol.2 東京『萬屋おかげさん』
東京の銘酒居酒屋として名高い『萬屋(よろずや)おかげさん』。選りすぐりの日本酒に合わせて供する旬のお造りは、カラスミ和え、肝和え、煎り酒浸し、藁(わら)炙りなど、そのままいただけるものばかり。魚の旨みと相まって、日本酒が気持ちよく進みます。
店主・神崎康敏(やすとし)さんのこの時季のオススメは、青魚の真イワシで作る「炒りわた和え」。お供に最適な「青ねぎの醤油漬」のレシピも必見です。
東京・四ツ谷『萬屋おかげさん』神崎康敏さん作
真鰯の炒りわた和え
「炒りワタ和えは、もともとはサンマで作っていましたが、脂がのった鳥取産の新鮮な真イワシが手に入るようになってからは、この時季の定番となりました」と神崎さん。
小さなエビやプランクトンを食べるサンマやイワシは、もともと胃腸が発達していないため、エサが体内に留まる時間が短く、新鮮ならまるごと食べることができる。内臓を取り出し、なめらかになるまで庖丁で細かく叩いたワタを炒りつけたら、脂ののった身と和え、仕上げにおろしショウガをギュッと搾る。
濃厚で複雑な旨みと爽やかな香りが渾然一体となって口中に広がり、ついつい盃に手が伸びる。店主のおすすめは、一年寝かせてまろやかになった山口の純米酒『貴』。
炒りワタは卵黄を加えてコクを増す
「ワタは腹からコロンと出てくるような新鮮なものを使います。もし真子が入っていたら、一緒に庖丁で叩くとさらに旨みが増します」。
なめらかになるまで叩いたら小鍋に移し、日本酒、塩を加えて弱火にかけ、かき混ぜながらしっかり炒りつける。そして最後に卵黄を加えてさっと火を通す。
「卵黄を加えることで舌触りがなめらかになり、コクも出て、ワタの臭みも消えます」。
炒り上げたらすぐに鍋を氷水で冷やし、作りたてを使うのもポイント。「やはり時間をおくと、どうしても特有の臭みが出ます」。
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