【レシピ付き】松茸以外のキノコ料理 Vol.2 大阪『なにわ料理 有』
『浪速割烹 㐂川(きがわ)』の孫弟子として、浪速の味を紡いできた『なにわ料理 有』主人の古池秀人さん。筆文字の品書きには、名物の天神紅梅蒸し(茶碗蒸し)やカニコロッケなど、多彩な約80種の単品が並びます。キノコ料理に関しては「出始めを迎えた、能勢(のせ)原木椎茸を用います」。そこに奇抜なアイデアを組み込むのではなく「師匠である有尾(『㐂川 有尾』主人)から受け継いだ技を私流に」と、挟み焼きの手法を取り入れて。大阪らしい地の恵みを用いた、古き佳き浪速割烹の技に注目です。
大阪『なにわ料理 有』古池秀人さん作
能勢原木椎茸と河内鴨の挟み焼き
これから出始めを迎える、大阪ならではのキノコの一つに、大阪北部の山中で収穫される能勢原木椎茸がある。「朝採れの新鮮な椎茸は、遠方から運ばれてくるものとは味わいが違います」。しっかりとした歯ごたえ、菌床栽培にはない強い香りと旨みに、料理人の想像力が膨らむのだろう。「ウチでは精進のすき焼きにしたり、おこわにすることも」と古池さんは目を輝かせる。
今回、ご紹介いただく料理は「能勢原木椎茸が持つ味わいのインパクトを、ダイレクトに伝えたい。ですから、ひねりは利かせずあえてシンプルに」。素材力が漲(みなぎ)る椎茸の相棒は、冬に向けてますます脂を蓄える河内鴨のロース。素材を交互に重ねて焼き上げ、互いの力強い味わいを引き立て合うという算段だ。
「挟み串」で、香りの相乗効果を狙う
『なにわ料理 有』の焼物には、「挟み串」を用いることも多いという。
「両端に置いた大根に串を渡して素材を並べ、さらにその上に串を渡して素材を挟んで固定させます。その状態で火にかけることで、見た目の美しさはもとより、互いのエキスを極力逃さず焼くことができます」。
両端に置く大根にはアルミホイルを被せると言う。「大根の甘い香りが素材に移る気がするので」と、古池さんの仕事は細やかだ。素材の切り方にも工夫が。「鴨ロースの皮目と椎茸の傘に入れる切り目は均等に。大きさも合わせて切り分けます。大切なのは口に入れた時の一体感ですから」。
鴨の皮目と椎茸の傘を上にして交互に並べ、串でがっちりと固定。タレをかけながら遠火の強火で焼き始める。「火入れの按配は、椎茸の傘と鴨の皮目を7、傘裏と赤身の部分を3のイメージで。鴨肉の肉汁を椎茸が吸うと同時に、椎茸の香りを鴨肉に纏わせる感覚。それぞれの素材の香りの相乗効果を狙います」。
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