【レシピ付き】芋料理 Vol.2 東京『懐石 大原』
かつての花街、東京・荒木町に暖簾を掲げる『懐石 大原』は、茶懐石の名店『和幸』(閉店)で修業した大原 誠さんの店です。今回、芋料理をテーマに大原さんが作ってくださった「甘鯛の薯蕷(じょうよ)蒸しの吸い物」は、一般的な大和芋ではなく、長芋を使用。甘鯛や吸い地との親和性を持たせる組合せや、食感を生かす調理法など必見です。
文:瀬川 慧 / 撮影:大山裕平
東京・荒木町『懐石 大原』大原 誠さん作
甘鯛の薯蕷蒸しの吸い物
開店して11年半、変わらぬ実直で丁寧な仕事は、『和幸』時代の師匠である故・高橋一郎さん譲り。毎朝、豊洲で仕入れた食材を駆使し、目で見て美しい、食べて美味しい旬の料理を供している。
今回も甘鯛の赤、長芋の白に銀杏と柚子皮の差し色が美しい一品。ほんのり塩味を付けて持ち味を生かした甘鯛と、程よく食感の残る長芋、カツオと昆布の利いた吸い地すべてが渾然一体となって、心地よい余韻が残る。
何ということはない薯蕷蒸しに見えて、隅々まで主人の心遣いが感じられる一品だ。
薯蕷蒸しは大和芋ではなく長芋を使う
薯蕷とはもともと山野に自生する自然薯(じねんじょ)のことで、品種によって粘りや風味、見た目も大きく異なる。一般的に薯蕷蒸しには、豊かな風味と粘りが強い大和芋を使うことが多いが、大原さんはあえて長芋を用いる。
「店では大和芋より粘りが少なく、水分の多い長芋を使います。粘りは弱いですが、淡泊で芋臭さが少なく、心地よい独特の歯ごたえが楽しめます。それにいつでも手に入りますから」と大原さん。
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