【レシピ付き】Vol.7 後編。あえて献立に組み込む「鉢物」で、「鍋」を供する師匠の意図とは
師弟セッション第7回目のテーマは「鉢物」。会席の献立ではあまり見かけない品書きですが、「コースの主役である焼き物からご飯物へと繋げるため、その間でだしの旨みをしみじみと感じていただく、実に重要な存在」と、『祇園さゝ木』店主の佐々木 浩さんは言います。前編では、弟子である『にしぶち飯店』の西淵健太郎さんが、中国料理の命のスープ「清湯(チンタン)」を用いて、和食と織りなす煮込みを披露。一方で、師匠が提案したのは「鍋」。その意図に迫ります。
文:船井香緒里 / 撮影:高見尊裕
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佐々木 浩さん(『祇園 さゝ木』店主)
1961年、奈良県生まれ。前衛的な味と軽妙な話術で場を盛り上げるカウンターの名手。1997年の開店以降、その独創性で脚光を浴び、2006年現在の地に移転してからはいよいよカリスマ性を発揮。個性豊かな料理人を育て、「一門会」は人気店主の集まりに。
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西淵 健太郎さん(『にしぶち飯店』店主)
1983年、京都府生まれ。「京都ブライトンホテル」の中国料理店『花閒(かかん)』を経て『祇園 さゝ木』で5年修業の後、2013年4月に中国料理店を開店。広東料理を軸に和の素材・技法を取り入れた緩急自在のコースが好評。「西淵はやんちゃで野心的。せやから、攻めの料理も得意ですよ。これからもその個性を武器に、突き進んでほしいね」とは佐々木さん談。
「鱧と松茸の鍋」が和みの場を演出
- 佐々木 浩(以下:佐々木)
- 西淵が提案してくれた「フカヒレの土鍋煮込み」は、料理屋の命であるだし、つまり中国料理におけるスープ「湯(タン)」の滋味を感じた。しかも、モヤシや青菜など脇役にも丁寧な仕事が施された、ようできた煮込みやった。
- 西淵 健太郎(以下:西淵)
- ありがとうございます! おやっさんがどう打って出られるのか、待ち遠しいですよ。
- 佐々木:
- 僕は、あえて王道でいこうと考えた。名残の鱧と、旬の松茸を取り合わせた「鱧松」や。
能書きは後にして、早速食べてもらおうか。
お待たせいたしました。「鱧と松茸の鍋」です。若水菜と厚揚げを添え、仕上げにスダチを搾っています。(佐々木さん自らが取り分け……)
どうぞ、お召し上がりください。
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