佐々木 浩流、6月の献立の立て方【前編】
梅雨に入り、蒸し暑くなる6月。瓜や茄子、トマトなどの夏野菜や、ウニ、アワビ、イセエビなど存在感ある魚介が出てきます。『衹園 楽味』で行われた試食会でも、旬真っ盛りの食材が登場。さらに、夏らしいデザインの料理も続々。『衹園 さゝ木』店主・佐々木 浩さんも唸る試食会となりました。
『衹園 楽味』:料理は先付、造りの後、魚・肉・野菜のネタ箱が豪快に並べられ、どう調理するか、料理人とお客がやり取りをして料理を決めるスタイル。「おすすめ」の品書きから選ぶことも可能で、試食会では先付と「おすすめ」の料理を決めるため、料理人がそれぞれ試作した1~3品を披露。佐々木 浩さんとスタッフ数人が試食し、ブラッシュアップを図る。
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佐々木 浩さん(『衹園 さゝ木』店主)
1961年、奈良県生まれ。前衛的な味と軽妙な話術で場を盛り上げるカウンターの名手。98年、36歳で独立し、衹園町北側に『衹園 さゝ木』開店。2006年、現在の地に移転してからはいよいよカリスマ性を発揮。「弟子を育てる店造りを」と再度改装を施し、23年8月、リニューアルオープンを果たす。直営店の『衹園 楽味』は「大人の居酒屋」をコンセプトに掲げ、2013年に開店。アテをつまみながらお酒を楽しめる『食ばぁー 楽味』併設。
6月から「ザ・夏!」な献立で
- 佐々木:
- 本格的に暑くなってくる6月は、ザ・夏!って感じで料理を考えて欲しい。涼しげで、さわやか。前回の総評でも伝えたけど、これから旬になるウニやアワビ、イセエビなど主役を張れる魚介を使った料理も。
今月も気合い入れていこう!
- 全員:
- はい!
『衹園 楽味』の料理人。上左/髙橋貴明さん。2015年入店で、煮方を務める。上右/水口直規さん。2016年入店で、焼き場を担当。下左/向板の堀越優希さんは、2022年入店。下右/千谷友哉さん。2021年入店。
試食したのは佐々木さんのほか、左/取締役の佐々木結花(以下:結花)さん、中/『衹園 さゝ木』若女将の佐々木志歩(以下:志歩)さん、右/ソムリエの佐々木恭輔(以下:恭輔)さん。
千谷友哉さん作──先付 毛ガニ キュウリとコリンキーの東寺巻き
- 千谷:
- 先付です。毛ガニは瓜系の野菜と合いますので、たっぷりのキュウリと食感のあるコリンキーの東寺巻きを添えています。新ショウガのジュレでお召し上がりください。
針打ちにしたキュウリとコリンキー(生食用のカボチャ)を湯葉で巻いた東寺巻きと毛ガニ。新ショウガ・酢・水・白ワインビネガーを沸かしてゼラチンで固めたジュレをかけ、花丸胡瓜(はなまるきゅうり)を添えた。
- 佐々木:
- ちょっと待ってくれ、コレ先付⁉ 豪華すぎひんか。毛ガニ1杯で何人分取れるねん?
- 千谷:
- 1杯7000円で、8名分です。
- 佐々木:
- ほんなら先付で2000円以上いただくことになるやん。それはありえへんわ。焼き魚や造り並み。これは先付として成立せぇへん。
ほんで値段以上に大事なことがある。
毛ガニってな、ネタ箱を見せて「ええ毛ガニ入ってますよ」ってお勧めして、お客さんに「ええやん、料理してや」って選んで食べていただくもんやと思うねん。
この店がコース料理の店やったらオッケー。「つかみ」が大事やからな。でも単品料理の店で、自動的に出てくる先付やとインパクトがないよ。忘れてまう。
- 結花:
- 他の魚介に変えた方がいいですね。タコとかどうですか?
- 佐々木:
- うん、タコええな。あとは……イワシ、もしくはアジ! 南蛮漬けでも、サッと炙りでもええやろな。このキュウリの東寺巻きとも合うはず。
で、ジュレはショウガより加減酢の方がええんちゃうかな。味がぼけてしまうわ。
- 千谷:
- ありがとうございます。単品料理を提供する上で大事なことを学べました。
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