佐々木 浩流、10月の献立の立て方【後編】
『衹園 楽味』10月の献立試食会後編。弟子たちは創意ある料理や昔ながらの料理など次々と繰り出します。しかし、すべて食べ終えた店主の佐々木 浩さんは「秋の料理として食べたい“ある料理”がない」と厳しい意見。その料理とは? 後編は6品の料理をご紹介します。
『衹園 楽味』:料理は先付、造りの後、魚・肉・野菜のネタ箱が豪快に並べられ、どう調理するか、料理人とお客がやり取りをして料理を決めるスタイル。「おすすめ」の品書きから選ぶことも可能で、試食会では先付と「おすすめ」の料理を決めるため、料理人がそれぞれ試作した1~3品を披露。佐々木 浩さんとスタッフ数人が試食し、ブラッシュアップを図る。
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佐々木 浩さん(『衹園 さゝ木』店主)
1961年、奈良県生まれ。前衛的な味と軽妙な話術で場を盛り上げるカウンターの名手。98年、36歳で独立し、衹園町北側に『衹園 さゝ木』開店。2006年、現在の地に移転してからはいよいよカリスマ性を発揮。「弟子を育てる店造りを」と再度改装を施し、23年8月、リニューアルオープンを果たす。直営店の『衹園 楽味』は「大人の居酒屋」をコンセプトに掲げ、2013年に開店。アテをつまみながらお酒を楽しめる『食ばぁー 楽味』併設。
『衹園 楽味』の料理人。上左/髙橋貴明さん。2015年入店で、煮方を務める。上右/水口直規さん。2016年入店で、向板を担当。下左/焼き場の堀越優希さんは、2022年入店。下中/千谷友哉さん。2021年入店。下右/山下一我さんは、2024年入店。
試食したのは佐々木さんのほか、左/『衹園さゝ木』女将の佐々木太津子(以下:太津子)さん、中/取締役の佐々木結花(以下:結花)さん、右/ソムリエの佐々木恭輔(以下:恭輔)さん。
堀越優希さん作──子持ち鮎
- 堀越:
- 子持ち鮎の身と子、骨を別々に調理し、一皿に盛り合わせました。
子持ち鮎をおろして塩をし、頭・骨・尾は揚げておく。白身魚のすり身・海鮎(小さな鮎)のコンフィをミキサーに回し、キクラゲ・大和芋・昆布だしを合わせた真丈地を鮎の身で巻き、鮎の子と共に蒸す。皿に銀あんを敷いて鮎を盛り合わせ、青ジソの新芽を加えた重湯ソースをかけ、ワサビを添えた。
- 太津子:
- うーん、これは、素材が死んじゃってるかなぁ…。
- 佐々木:
- その言葉に尽きる。これは素材を殺してるわ。子持ち鮎はそのまま焼くのが一番美味いねん。
- 堀越:
- 塩焼きか、タレ焼きか…。
- 佐々木:
- そう、焼き物にする。そっからどうヒネるかを考えるんや。
僕が子持ち鮎で一番好きなのは、大きめサイズに串を打って焼き、合わせだしをひたひたにして6時間蒸したやつ。骨まで軟らかくて、ほろほろっとした食感。手間やし経験が必要な料理やけど、めちゃくちゃ美味いで。
- 堀越:
- 勉強になります。ありがとうございます!
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