×丸田宗彦vol.1 侘び寂びとモダンが相和す、唐津の“今”の表現者
土味が生きた絵唐津に代表されるように、侘び寂びの世界観が色濃い唐津焼。「丸田さんの作品は、渋さの中にもどこか“今”の空気感があって、包み込むような優しさがある。うつわだけをずっと眺めていても飽きません」と東京『神楽坂 石かわ』の店主・石川秀樹さん。釉薬がダイナミックに躍動する朝鮮唐津でも、その印象は変わらないと言います。個展でひと目惚れした朝鮮唐津の壺を手に、丸田さんの話が始まりました。
文:渡辺紀子 / 撮影:綿貫淳弥 / 編集:伊東由美子
色と色が融合し、独特の世界が湧出する朝鮮唐津
ひと抱えもあるような、朝鮮唐津の立派な壺を愛でる石川さん。へたり、ゆがみが味だ。
この朝鮮唐津の壺は、丸田宗彦さんの個展でひと目惚れして購入したものです。一瞬で買うと決めました。ダイナミックでカッコいいですよね。高台が小さくてキュッと引き締まった形で、緊張感がある。
唐津のうつわは、ざっくりした土の風合いが良くて、好みです。絵唐津は、侘び寂びを感じさせてくれるうつわが多いですし、しっとりとした風情がある。地味だけれど味わい深く、盛り映えがするので、一度その良さを知ると、いろんなものを盛ってみたくなります。
丸田さんの作品は堂々たる風格があって、大御所感がある。それでいて、時代の空気感ともしっくり合う。この壺がまさにそうで、うつわにも同じ持ち味を感じます。料理を盛ると、僕らの技術だけでは到達できない世界を見せてくれるので、料理人にとっては有難いうつわです。
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