『神楽坂 石かわ』×現代作家

×丸田 雄vol.1 盛り付けのアイデアが次々と湧く、進取的な唐津焼

佐賀県武雄市ののどかな山間の工房で作陶する丸田 雄(ゆう)さんは、伝統を踏まえながらも新たな試みを忘れず、進取の気性に富んでいます。安定感と品格を備えた作品は、料理をぐっと引き上げてくれるようで、『神楽坂 石かわ』の石川秀樹さんも「こんな料理を盛りたい!と、うつわにアイデアを刺激されます」と、厚い信頼を寄せています。愛用する作品と届いたばかりの新作に、深まる秋を盛り込んでいただきました。

文:渡辺紀子 / 撮影:綿貫淳弥 / 編集:伊東由美子

目次


初々しさと侘びた落ち着きが同居する

僕は、唐津焼が好きなんです。なかでも、丸田宗彦さんの作品には強く心が惹かれます。
息子の雄さんも陶芸家で、彼の作品もとてもいいんですよ。

初めての出合いは、4~5年前。個展の案内状にそそられて、当時、まだ中目黒にあった『Pond Gallery(ポンドギャラリー)』に伺いました。そこから、個展があるたびに少しずつ買い足して、現在持っているのが写真の4点です。

ish0010-1a4点とも見れば見るほど味わい深い。複雑に色が絡んでいたり、文様が潜んでいたり。形も楽しい。

魚の形の皿、持ってみてください。軽いでしょう。それに比べ、絵唐津のうつわはどっしりと重い。どれも若い作家さんらしい雰囲気がありながら、侘びた味わいが同居している作品です。とても気に入っていて、よく使います。

そして今回、撮影用に新作をいくつか送っていただいたのですが、その中で真っ先に目に留まったのが、この“唐津 赤”でした。初めて聞く名前だな、と思ったら、雄さんが命名したオリジナルだそうです。

ish0010-1b唐津 赤 沓(くつ)向付。今回初お目見えする“唐津 赤”。

形がいいですよね。赤い色も美しい。大きさも絶妙です。雄さんのこれまでの作品に比べると、石はぜ(※1)が多くて、荒々しさをあえて残している感じもします。それでも仕上がりは品がいい。使っているうちに、色合いもよくなっていくように思います。

今回は新作から2点、そして僕の所有している作品から1点選んで、料理を盛っていきます。まずは、新作の蓋付きの絵唐津から始めましょう。

※1 石はぜ:素地の中にあった小石が焼成中にはじけて表面に露出し、生まれた景色。

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