【レシピ付き】旬の地元の魚菜を閉じ込めた「大阪もの寄せ」という発想
「地元の食材の美味しさを伝えるのも料理屋の仕事やと思いますが、やり尽くした感もあって…(笑)。思い切って、秋口の素材をまとめて寄せ物にしてみました」。北新地で40余年の歴史を持つ『味菜(あじさい)』店主の坂本 晋(すすむ)さん。淀川しじみに泉州のトビアラ、大阪千両茄子と、オクラで二層の寄せ物を作り、泉州の玉ネギを潜ませた胡麻酢でいただく初秋の一品。天には、なんとオクラの種のペーストが。坂本さんのいぶし銀の仕事が光ります。
※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/
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大阪・北新地『味菜』
1954年、岐阜県高山市出身。北新地『神田川本店』で修業し、北新地に店を構えて40余年。全国から産地直送で旬の食材を取り寄せ、新旧の技を巧みに融合させて割烹料理を仕立てる。育て上手としても知られ、実力派の若手料理人を次々と輩出。大阪料理会では運営委員として、古き仕事も惜しみなく披露している。WA・TO・BIでは連載「和食のいろは」内で季節の一品のレシピを紹介している。
『味菜』坂本 晋さん作
大阪もの寄せ 胡麻酢
近年、河川の浄化によって、淀川の魚介の質が向上しています。うちでは、天然鰻にハゼ、淀川しじみなどを旬の時期に仕入れて冷凍保存し、年中、「淀川コース」を提供しています。
国内外の観光客だけでなく、地元の方にも地の幸をもっと知っていただきたい。料理屋は、料理を通して地元をPRする役目もあると、常々思っています。
大阪の産物オールキャスト!
初夏から秋は、大阪湾でトビアラが揚がります。サルエビやジャコエビとも呼ばれる小エビで、体長10cmを超えるとトビアラ。泉州の名産として知られます。
このトビアラとナスの煮物は、大阪の定番のおかずです。ナスもちょうど旬を迎える頃なので、今回は、なにわの伝統野菜の「鳥飼なす」を使いたかったのですが…。猛暑で収穫が少なかったようで、大阪の千両茄子を用いました。
トビアラとシジミはとても相性がいいんですよ。そこで、淀川しじみでだしをとり、千両茄子をさっと炊いて、その煮汁とシジミだしにゼラチンを加えて寄せ物に。そこに、蒸し焼きにしたトビアラと、オクラのペーストを重ねています。下に敷いた胡麻酢にも、泉州の玉ネギを使っているんですよ。
オクラの種の苦みをアクセントに
「大阪産」と書いて「おおさかもん」。大阪府内で生産された農林水産物とその加工品のことで、その中にオクラがあります。案外知られていないのですが、風味に優れた良品です。
和食店では、白い種を除いて使うことが多いのですが、この種は栄養価が高いそうです。捨てるのはもったいないので、今回はペーストにして、天にあしらいました。種の部分は苦みがあるので、太白ゴマ油を少し加えて乳化させ、まろやかにしています。
玉ネギのコクを加えた秋らしい胡麻酢
大阪食材の寄せ物のまとめ役となるのが、下に敷いた胡麻酢です。少しコクがあった方が秋らしくていいかなと思ったので、玉ネギをキツネ色になるまで炒めて加えました。
玉ネギ自体も、秋からはみずみずしさよりも、加熱して甘みを引き出した方がいいと思います。皿に敷いて大阪もの寄せをのせたら菊花を1枚あしらい、秋の訪れを表現しました。
寄せ物のゼラチンの硬さ、エビやナスの食感のバランスの良さに、円熟の技を感じるという感想が多々。「オクラの種を使う発想が目からウロコでした」「玉ネギを利かせた胡麻酢が美味しい!」という声も。「何一つ突出することがなく、それでいてそれぞれの食材の存在感がある。これほどバランスのよい寄せ物はなかなか作れない」と、畑 耕一郎会長も感心していた。
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