和食を科学する料・理・理・科

真薯(しんじょ)の食感はコントロールできる!? vol.2

2022.07.29
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連載:和食を科学する料・理・理・科

ふわふわ、ムチムチ、プリプリ…と、真薯は主役にする魚介によって、理想の食感は違います。vol.1では旬の鱧を使って、大阪・東天満の『懐石料理 雲鶴(うんかく)』店主・島村雅晴さんが農学博士・川崎寛也さんと共に、いくつかの実験を行いました。今回は、「エビ100%の真薯を作りたい」と島村さん。目指すは、柔らかさの中にエビらしい弾力も感じる真薯。鱧との違いはエビにある自己消化酵素で、これを生かすか? 阻害するか? そのために何を加えるか? vol.2は真薯における副材料について実験し、検証します。

文:中本由美子 / 撮影:香西ジュン
島村雅晴さん(大阪・東天満『懐石料理 雲鶴』店主)

1977年生まれ、和歌山県出身。北新地『北瑞苑』で9年修業し、2005年に28歳で独立。7年後、東天満に移転。古文書などを読み、日本の古き佳き文化を独学する一方で、科学的アプローチも取り入れる、柔軟で探求心旺盛なお人柄。培養肉の研究開発ベンチャー「ダイバースファーム」、養殖を支援し、海里の環境保全に努める「RelationFish」などの会社も共同経営。http://www.unkaku.jp/

川崎寛也さん(農学博士)

1975年、兵庫県生まれ。京都大学大学院農学研究科にて伏木亨教授に師事し、「おいしさの科学」を研究。「味の素㈱」食品研究所上席研究員であり、「日本料理アカデミー」理事。「関西食文化研究会」での基調講演でも活躍している。専門は、調理科学、食品科学など。

エビの食感を左右するのは自己消化酵素

島村雅晴(以下:島村)
真薯の食感はコントロールできる!? vol.1」では、鱧の実験を行いましたが、次は車エビの真薯をテーマに実験してみたいと思います。
川崎寛也(以下:川崎)
島村さんの理想とするエビ真薯はどんな食感ですか?
島村:
白身のすり身などを合わせず、100%エビだけで真薯を作りたいのですが…。ブリッとした弾力が強すぎると真薯には向かない。やっぱり箸で切れるくらいの柔らかさも大事ですから。その中にエビらしい歯ざわりを残せたら、と思います。
川崎:
エビは自己消化酵素が強く、そこが鱧との違いです。生き物の体内には様々な酵素が存在しますが、自己消化酵素は主としてたんぱく質を分解します。このたんぱく質分解酵素はプロテアーゼといいます。
エビは死後、急速にプロテアーゼが活性化します。筋線維のたんぱく質が分解されると食感が失われます。そのまま置いておくと溶けてしまうんですよ。
島村:
エビの場合は自己消化酵素の働きを抑えないと、真薯にした時に弾力がなくなる、ということですよね。
川崎:
その通りです。たんぱく質分解酵素の活性を阻害する物質をプロテアーゼインヒビターと言います。インヒビット(inhibit)は抑制するという意味ですね。
島村:
今回のエビ真薯の実験は、最適なプロテアーゼインヒビターを見つけることがテーマですね。
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