海老芋のレシピ|煮物・揚げ出し・コロッケなど。料理人に学ぶ下ごしらえも
きめ細かな肉質と、なめらかな舌触りが魅力の海老芋。秋冬の日本料理に欠かせない食材ですが、煮るだけでなく、焼く、揚げる、潰すといった仕事によって、さまざまな表情を見せます。海老芋の特徴や里芋との違いを押さえ、料理人が実践する下処理と、煮物から創意ある一品までをご紹介します。
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海老芋とは? 里芋との違いと旬について
海老芋は里芋の一種です。湾曲した姿と表面の縞模様がエビに似ていることから、その名が付いたといわれています。里芋の仲間の中でも、特徴的な姿や食味を持つものです。
持ち味は、きめ細かな肉質と、加熱すると引き立つ甘み、なめらかな舌触り。ねっとりとした食感を楽しめる一方、調理によっては、ほくほく感や軽やかな口解けを引き出すこともできます。
晩秋から冬にかけて出回り、京都の名物料理「いもぼう」に使われることでも知られています。京野菜として親しまれていますが、静岡や大阪などでも栽培されています。
姿を生かした煮物はもちろん、料理の幅も豊か。どのような食感に仕上げたいかを考え、下ごしらえを選ぶといいでしょう。
海老芋の下ごしらえ|皮むき・下茹で・蒸し方
海老芋の下ごしらえには、茹でたり蒸したりする方法があり、形や食感、味の含ませ方など、目指す仕上がりに応じて使い分けます。
皮は表面近くの筋を取り除くよう厚めにむき、滑らかに整えます。
下茹では、真水から茹でて口離れよく仕上げる方法もあれば、米ぬかを加えて茹で、水さらしや再加熱でぬか臭さを抜く方法も。
その後、だしで静かに煮含めたり、だしと共に蒸し煮にして、煮汁に浸したまま味を含ませたりします。
一方、茹でずに蒸す方法を検証したのが、『京料理 たか木』の高木一雄さんと、農学博士の川崎寛也さん。50~60℃で下蒸ししてから100℃で蒸す方法などを比較したところ、下蒸しの時間によって、甘みや歯切れに違いが見られました。煮崩れを防ぎながら海老芋の持ち味を引き出す、興味深い実験です。
下茹でや蒸し時間は、芋の大きさや切り方、使う機器によっても変わります。時間だけを目安にせず、串を通した時の抵抗などを確かめ、目指す仕上がりを見極めることが大切です。
撮影/香西ジュン
▼「煮崩れさせない海老芋の炊き方は?」の記事を読む
料理人に学ぶ海老芋のレシピ
口解けを追求した煮物「海老芋の炊いたん」——京都『浜作』
撮影/Rina
海老芋の皮をむき、下茹でし、だしで煮含める。シンプルな工程の一つ一つを磨き上げたのが、『浜作』の「海老芋の炊いたん」です。
分厚く滑らかに皮をむき、真水で下茹でした海老芋は、同じくらいの温度に温めた昆布だしへ。5~6分程度だし煮込みをしたら、砂糖とみりん、薄口醤油、塩と段階的に調味します。目指すのは、口の中でほどけるような繊細さと、すっと納まる食べ心地。三代目・森川裕之さんが、皮むきから火加減まで、その仕事の意図を解説しています。
形を美しく保ちながら味を含ませる「海老芋の煮物」——京都『瓢亭』
撮影/内藤貞保
海老芋の輪郭を美しく保ちながら、だしの味を含ませたい。『瓢亭』の髙橋義弘さんが取り入れているのが、蒸し煮です。
米ぬかで下茹でし、ぬか臭さを抜いた海老芋を耐熱容器に入れ、調味した熱いだしを注いで蒸します。その後、煮汁に浸したまま一晩置き、じっくりと味を含ませます。器に合わせて小さくする場合は、盛り付ける時に切るのも、美しく仕上げる工夫。エビ、菊菜、黄柚子を添えれば、冬の華やかな一品になります。
焼いた芋の甘みに唐墨と柚子を利かせた「海老芋コロッケ」——京都『瓢亭』
撮影/内藤貞保
『瓢亭』の海老芋コロッケは、皮付きの芋をオーブンで焼くところから始まります。焼いて引き出した香りや甘みに、先ほどの「海老芋の煮物」の煮汁を加えて、生地の味と柔らかさを調えます。
生地に刻んだユズ皮を混ぜ、カラスミを包み、卵白とパン粉で薄衣に。カラスミの塩気が海老芋の甘みを引き立て、ユズが香ります。
蒸した海老芋にカニの旨みを重ねた「板持海老芋揚げ出し 紅ズワイ蟹あんかけ」——大阪『天の川なかなか』
撮影/福本 旭
大阪・富田林の『乾農園』の海老芋を、蒸してから揚げ出しに。『天の川なかなか』の岡本正樹さんは、皮をむいて真空にした海老芋を、スチームコンベクションオーブンで2段階の温度帯に分けて加熱します。
そして浮き粉を付けて揚げることで、芋そのものの風味を生かす仕立て。合わせるのは、紅ズワイガニのほぐし身を加えたあんです。さらに梨の果汁やすりおろしを使い、味わいに変化を付けています。
煮物の切れ端を新たな一品にした「海老芋豆腐 きんつば仕立て」——大阪『法善寺 浅草』
撮影/福本 旭
煮た海老芋を整える時に出る切れ端も、工夫次第で料理の主役になります。『法善寺 浅草』の辻 宏弥さんは、その切れ端を潰して粗めに裏漉しし、煮汁と葛を使った海老芋豆腐に仕立てました。
冷やし固めて切り出し、溶き卵をまとわせて、きんつばのように焼き上げます。少し残した芋の食感と、卵の焼き色が持ち味。煮物を起点に、食感も見た目も異なる一品へ展開する、始末の心が生きた料理です。
海老芋料理にワインを合わせるには?
撮影/岡森大輔
海老芋の料理は、調理法によってワインとの相性も変わります。大阪『翠』の海老芋料理を使った企画では、2人のソムリエが、煮物、醤油焼き、揚げ物とワインの組み合わせを検証しました。
繊細な煮物では、海老芋の甘みや土を思わせる風味、だしの味わいなど、どこに寄り添わせるかによって意見が分かれる場面も。一方、醤油ダレを塗って焼いたものと、油で揚げたものには、赤ワインが好相性という意見がそろいました。
食材が同じでも、香ばしさや油、調味によって合わせ方は変わるもの。料理の仕立てと共に、飲み物の提案を考えるヒントになります。
▼ワイン×海老芋の相性検証を読む
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